【今日の料理】 2011/1/24 夕食
今日は,妻と娘(11.4ヶ月)は,ベビーサイン(赤ちゃん手話)の日です.今日は,風船をふくらませたり,節分の鬼のお面を作ったりしたそうです.新しく覚えたベビーサインは,「しまじろう」です.「トラ」のベビーサインで,代用するそうです.
娘は,午前中は公民館の子育て室で大騒ぎ,午後もおおむね機嫌が良かったそうです.
と,思っていたら,夕食後に大騒ぎでした.日中,電車で遠くまで外出して,興奮しすぎてしまったのかもしれません.一度寝たものの,すぐに起きてしまいました.仕方がないので,妻は,ヒザの上に娘を載せながら,「ストロベリーナイト」を見て,武田鉄也さんを褒めたたえていました.(赤ん坊と見るドラマではないと思います.)娘は,ドラマが終わってから,やっと寝ました.

★米飯
★みそ汁,なす
★トビウオの竜田揚げ風
トビウオを酒・しょうゆ・ショウガのタレに漬け込んで,小麦粉・片栗粉をまぶしました.最初,オーブンで焼いたのですが,焦げ色が付きそうにないので,途中で取り出して,油を多めに敷いたフライパンで焼きました.なんとか,それらしくなりました.
トビウオの鮮度が良いのか,ふっくらしており,淡白な味わいで,とても美味でした.
★かぼちゃ煮
妻が育児仲間から頂いてきた,かぼちゃです.ダシとしょうゆで煮ました.水気が多く,軟らかいかぼちゃでした.甘みがないので,砂糖を加えたほうが良かったです.
「今日の料理」へのコメント,お待ちしております.
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【今日の料理工学】 エクセルで熱伝導解析~料理工学を学ぶ君へ
「今日の料理工学」では,これまで,いろいろな物の温度変化の計算を,行ってきました.例えば,
・煮物の際の,食材の温度変化(→こちら)
・鍋を加熱したときの,鍋の温度変化(→こちら)
・ガラス食器を急熱・急冷したときの温度変化(→こちら)
・オーブンでケーキを焼くときの,ケーキの温度変化(→こちら)
こうした温度変化の計算のために,「熱伝導解析」用のツールを,自前で作成しました.今回は,このツールについて,紹介します.料理工学を学ぶ貴方に,育休おじさんからのプレゼントです.
★エクセルで動く熱伝導解析ツール
作成したツールは,マイクロソフト社の「エクセル(Excel)」で動作するものです.マクロ(VBA)を使用して,作成しました.
次の2種類のツールがあります(下図1).
a)1次元熱伝導解析ツール
b)2次元熱伝導解析ツール
<図1>
a)1次元熱伝導解析ツール

b)2次元熱伝導解析ツール

これらのツールでは,時間に対する,温度分布の変化の計算ができます.
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熱伝導解析ツールは,こちらです.(xlsファイル)
a)1次元熱伝導解析ツール
https://docs.google.com/open?id=0B7vDUGd6_bj-ODYwNzQxNmQtMWMzNC00ZjRkLTliYzYtNmM0M2Y1MThhNGEy
b)2次元熱伝導解析ツール
https://docs.google.com/open?id=0B7vDUGd6_bj-ZTIyNjcyOGQtYWJlMy00NDlkLWEyNjEtOTBlOTY5NzQxMzYy
(「Googleドキュメント」が開きます.File→Download Originalでダウンロードできると思います.)
当ツールは,使用・改変・転載等,全てフリーです.勝手にやって下さい.
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本ツールの使用のためには,マイクロソフトの表計算ソフト「エクセル(Excel)」が必要です.エクセルのマクロのセキュリティを,「中」または「低」に設定する必要があります.(エクセルのメニューバーで,ツール→マクロ→セキュリティ.)
本ツールに関して,改善要望・質問事項などありましたら,お気軽にコメントください.
★取り扱う解析モデル
熱伝導解析ツールでは,次のようなモデルについて,計算を行います.
a)1次元熱伝導解析ツール
図2のように,物体をx軸に沿って,N個の短冊(幅dx)に分割します.このツールでは,N=19で,固定です(図では,短冊数を省略して書いています).両端には,境界条件を与えます.境界条件は,断熱・温度一定・熱流量一定,から選べます.
時間t=0[s]における物体の温度を与えると,時間t[s]を少しずつ進めながら,各時間における物体内部の温度分布が計算されます.
なお,解析領域の材質は均質(全域が同一の材料)とします.
<図2>

詳しい計算内容については,過去の記事(→こちら)や,ソースコードを参照ください.
b)2次元熱伝導解析ツール
図3のように,長方形形状の物体を,x軸に沿ってN個,y軸に沿ってM個の短冊(幅dx×高さdy)に分割します.このツールでは,N=M=9で,固定です(図では,短冊数を省略して書いています).長方形の周囲には,境界条件を与えます.境界条件は,断熱・温度一定・熱流量一定,から選べます.
時間t=0[s]における物体の温度を与えると,時間t[s]を少しずつ進めながら,各時間における物体内部の温度分布が計算されます.
なお,解析領域の材質は均質(全域が同一の材料)とします.
<図3>

※図中,短冊数=19個とありますが,正しくは9個です.
詳しい計算内容については,過去の記事(→こちら)や,ソースコードを参照ください.
以下では,具体的な問題を例に,使い方を説明します.
a)1次元熱伝導解析ツール:ホットプレートで肉を焼く問題
b)2次元熱伝導解析ツール:オーブンでローストビーフを作る問題
★使い方:1次元熱伝導解析ツール
下図4のような問題を考えます.出力1000Wの,300mm×300mmのホットプレートの上に,肉が載っています.肉の初期温度が20℃のときに,時間の経過に対する,肉の温度変化を求めてみます.なお,実際の肉は100℃で水分が沸騰しますが,これは考えず,100℃を超えても滞りなく温度が上がるとします.
<図4>

この問題は,肉の側面から逃げる熱を無視すると,下図5のように,一次元の問題に置き換えられます.下端からは,加熱によって,一定熱流量Q[W/mm^2]が入ってきます.上端から逃げる熱は少ないとして,断熱とします.
<図5>

※図5では,短冊の分割数は,実際より省略して書いています(実際には,内部19個+両端1個ずつの分割です).
では,解析ツールを使って,この問題を解いてみます.
操作は,シートの丸数字の順に進めます.
1.「①計算条件の入力」
まず,図6-1のように,計算条件を,セルに入力します.
・時間キザミ:0.5[s] … 計算をするときの時間キザミ(ひとまず適当な値を入力)
・終了時間 :600[s] … この時間まで計算したら,計算を終了する
・間引き間隔:100[回ごと] … 計算結果を表示する間隔
・x短冊幅:0.5[mm] … 図5の通り
<図6-1>

2.「②物性値を選択」
「②物性値を選択」ボタンを,クリックします.そうすると,図6-2のように,ダイアログが開きます.(以降,図が小さいですが,図をクリックすると拡大できます.)
今回は,材質が肉です.肉の主成分は水ですので,熱的な物性は,流動しない水と考えられます.そこで,「水(流動なし)」を選びます.そうすると,次の値が,自動的に入力されます.
・熱伝導率k[W/mK]
・比熱c[J/kgK]
・密度ρ[kg/m^3]
・温度伝導率D[m^2/s]
※ダイアログにない物質を用いるときは,ダイアログを使わずに,熱伝導率・比熱・密度のセルを,自分で入力します.温度伝導率は,自動的に計算されます.
<図6-2>

3.「③初期温度を入力」
今回は,肉の初期温度は,全体に渡り20℃です.そこで,「初期値」の温度のセル(水色)に,全て20を入力します.(このセル1個1個が,図5の分割された短冊1個1個の温度に対応しています.)
<図6-3>

4.「④境界条件を設定」
図5の通り,-x側の端部の境界条件は,「一定熱流量」です.また,+x側の端部の境界条件は,「断熱」です.これらを,設定します.
まず,-x側です.図6-4の上のように,「現在値」の温度Tの左端のセル(10行9列)を選んだ後に,「④境界条件を設定」ボタンを押します.そうすると,ダイアログが開きます.(正しいセルを選択した状態でないと,ダイアログは開きません.)このダイアログで,「熱流量一定」を選び,「熱流量Q」に1000[W]を,「流入面積S」に90000[mm^2](=300mm×300mm)を,それぞれ入力します.入力したら,「OK」をクリックします.
次に,+x側です.図6-4の下のように,「現在値」の温度Tの右端のセル(10行29列)を選んだ後に,「④境界条件を設定」ボタンを押します.そうすると,ダイアログが開きます.(正しいセルを選択した状態でないと,ダイアログは開きません.)このダイアログで,「断熱」を選びます.選んだら,「OK」をクリックします.
<図6-4>


5.「⑤計算開始」
以上の入力が終わったら,「⑤計算開始」をクリックします.しばらく待っていると,「以下,計算結果データ」の箇所に,計算結果が表示されます(図6-5).この結果データは,各行が,各時間tに対する温度分布を示しています.
計算途中でも,[ESC]キーを押すと,計算を中断できます.(「コードの実行が中断されました」と出るので,「中止」をクリックして下さい.)
また,計算中に,結果の表示がおかしくなった場合(「#NUM」と表示されるなど)には,1.で設定した時間キザミが大きすぎる可能性があります.一旦計算を中断して,時間キザミを小さく(例えば1/10に)してから,再度試してみてください.
<図6-5>

計算結果は,エクセルのグラフ機能を使って,簡単にグラフ化できます.例えば,
・各時間における,温度分布のグラフ(図6-6上のように参照データ範囲を選択)
・各位置における,温度の時間変化のグラフ(図6-6下のように参照データ範囲を選択)
<図6-6>


★使い方:2次元熱伝導解析ツール
下図7のような問題を考えます.オーブンの中に,幅600mm×厚さ400mmの肉を置いて,ローストビーフを作ろうとしています.オーブンの中には,温度ムラがあり,肉の上面は200℃,側面は100℃,底面は50℃だとします.肉の初期温度が20℃のときに,時間の経過に対する,肉の温度変化を求めてみます.なお,実際の肉は100℃で水分が沸騰しますが,これは考えず,100℃を超えても滞りなく温度が上がるとします.
<図7>

この問題は,肉の奥行き方向長さLが十分長い(例えば幅・厚さの3倍程度)として,この方向の熱の流れを無視すると,下図8のように,2次元の問題に置き換えられます.肉の周囲が,一定温度に保たれるとします.
<図8>

※図8では,短冊の分割数は,実際より省略して書いています(実際には,内部9個×9個+周囲1個ずつの分割です).
では,解析ツールを使って,この問題を解いてみます.
操作は,シートの丸数字の順に進めます.大まかな手順は,1次元のツールと同じです.
1.「①計算条件の入力」
まず,図9-1のように,計算条件を,セルに入力します.
・時間キザミ:1[s] … 計算をするときの時間キザミ(ひとまず適当な値を入力)
・終了時間 :600[s] … この時間まで計算したら,計算を終了する
・間引き間隔:100[回ごと] … 計算結果を表示する間隔
・x短冊幅:6[mm] … 図8の通り
・y短冊幅:4[mm] … 図8の通り
<図9-1>

2.「②物性値を選択」
「②物性値を選択」ボタンを,クリックします.そうすると,図9-2のように,ダイアログが開きます.(以降,図が小さいですが,図をクリックすると拡大できます.)
今回は,材質が肉です.肉の主成分は水ですので,熱的な物性は,流動しない水と考えられます.そこで,「水(流動なし)」を選びます.そうすると,次の値が,自動的に入力されます.
・熱伝導率k[W/mK]
・比熱c[J/kgK]
・密度ρ[kg/m^3]
・温度伝導率D[m^2/s]
※ダイアログにない物質を用いるときは,ダイアログを使わずに,熱伝導率・比熱・密度のセルを,自分で入力します.温度伝導率は,自動的に計算されます.
<図9-2>

※上図では「鋼」を選んでいますが,正しくは「水(流動なし)」を選択してください.
3.「③初期温度を入力」
今回は,肉の初期温度は,全体に渡り20℃です.そこで,「初期値」の温度のセル(水色)に,全て20を入力します.(このセル1個1個が,図8の分割された短冊1個1個の温度に対応しています.)
<図9-3>

4.「④境界条件を設定」
図8の通り,境界条件は,上端が200℃,左端と右端が100℃,下端が50℃で,温度一定の条件です.
上端を例に,設定方法を説明します.図9-4のように,「現在値」の温度Tの上端のセル(色が違うセル,20行10~18列)を選択(ドラッグして一括選択)した後に,「④境界条件を設定」ボタンを押します.そうすると,ダイアログが開きます.(正しいセルを選択した状態でないと,ダイアログは開きません.)このダイアログで,「温度一定」を選び,「温度T」に200[℃]を入力します.入力したら,「OK」をクリックします.
同様にして,左端・右端・下端の境界条件も,設定します.
<図9-4>

5.「⑤計算開始」
以上の入力が終わったら,「⑤計算開始」をクリックします.しばらく待っていると,「以下,計算結果データ」の箇所に,計算結果が表示されます(図9-5).この結果データは,各時間tにおける温度分布を示しています.
計算途中でも,[ESC]キーを押すと,計算を中断できます.(「コードの実行が中断されました」と出るので,「中止」をクリックして下さい.)
また,計算中に,結果の表示がおかしくなった場合(「#NUM」と表示されるなど)には,1.で設定した時間キザミが大きすぎる可能性があります.一旦計算を中断して,時間キザミを小さく(例えば1/10に)してから,再度試してみてください.
<図9-5>

計算結果は,エクセルのグラフ機能を使って,簡単にグラフ化できます.例えば,
・ある時間における,温度分布のカラーグラフ(図9-6のように参照データ範囲を選択.左上の飛び地の空白セルも選択する必要があるので,注意)
<図9-6>

本ツールに関して,改善要望・質問事項などありましたら,お気軽にコメントください.
(補足)
本ツールは,最小限の機能のみを付与したため,いろいろな制限があります.例えば,
・単一物質の場合しか,解析できない.
・短冊の分割数が,変更できない.
・2次元解析では,長方形形状しか解析できない.
・短冊の幅が全て同一の場合しか,解析できない.
・境界条件の種類が,限られている.(表面の熱伝達率一定などを,考慮できない.)
こうした制限は,エクセルのVBAに慣れた方ならば,それほど手間をかけずに改造可能だと思います.
【今回の結論】
1次元および2次元の,熱伝導解析ツールを紹介しました.
料理工学を学ぶ皆様,日々の学習に,どうぞご利用ください.(もちろん,料理工学以外にも使えます.)
昨日に続き,今日も完全に趣味の世界です.長々と申し訳ありません.
こんな内容ですが,応援してくれるかなあ.
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今日は,妻と娘(11.4ヶ月)は,ベビーサイン(赤ちゃん手話)の日です.今日は,風船をふくらませたり,節分の鬼のお面を作ったりしたそうです.新しく覚えたベビーサインは,「しまじろう」です.「トラ」のベビーサインで,代用するそうです.
娘は,午前中は公民館の子育て室で大騒ぎ,午後もおおむね機嫌が良かったそうです.
と,思っていたら,夕食後に大騒ぎでした.日中,電車で遠くまで外出して,興奮しすぎてしまったのかもしれません.一度寝たものの,すぐに起きてしまいました.仕方がないので,妻は,ヒザの上に娘を載せながら,「ストロベリーナイト」を見て,武田鉄也さんを褒めたたえていました.(赤ん坊と見るドラマではないと思います.)娘は,ドラマが終わってから,やっと寝ました.

★米飯
★みそ汁,なす
★トビウオの竜田揚げ風
トビウオを酒・しょうゆ・ショウガのタレに漬け込んで,小麦粉・片栗粉をまぶしました.最初,オーブンで焼いたのですが,焦げ色が付きそうにないので,途中で取り出して,油を多めに敷いたフライパンで焼きました.なんとか,それらしくなりました.
トビウオの鮮度が良いのか,ふっくらしており,淡白な味わいで,とても美味でした.
★かぼちゃ煮
妻が育児仲間から頂いてきた,かぼちゃです.ダシとしょうゆで煮ました.水気が多く,軟らかいかぼちゃでした.甘みがないので,砂糖を加えたほうが良かったです.
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【今日の料理工学】 エクセルで熱伝導解析~料理工学を学ぶ君へ
「今日の料理工学」では,これまで,いろいろな物の温度変化の計算を,行ってきました.例えば,
・煮物の際の,食材の温度変化(→こちら)
・鍋を加熱したときの,鍋の温度変化(→こちら)
・ガラス食器を急熱・急冷したときの温度変化(→こちら)
・オーブンでケーキを焼くときの,ケーキの温度変化(→こちら)
こうした温度変化の計算のために,「熱伝導解析」用のツールを,自前で作成しました.今回は,このツールについて,紹介します.料理工学を学ぶ貴方に,育休おじさんからのプレゼントです.
★エクセルで動く熱伝導解析ツール
作成したツールは,マイクロソフト社の「エクセル(Excel)」で動作するものです.マクロ(VBA)を使用して,作成しました.
次の2種類のツールがあります(下図1).
a)1次元熱伝導解析ツール
b)2次元熱伝導解析ツール
<図1>
a)1次元熱伝導解析ツール

b)2次元熱伝導解析ツール

これらのツールでは,時間に対する,温度分布の変化の計算ができます.
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熱伝導解析ツールは,こちらです.(xlsファイル)
a)1次元熱伝導解析ツール
https://docs.google.com/open?id=0B7vDUGd6_bj-ODYwNzQxNmQtMWMzNC00ZjRkLTliYzYtNmM0M2Y1MThhNGEy
b)2次元熱伝導解析ツール
https://docs.google.com/open?id=0B7vDUGd6_bj-ZTIyNjcyOGQtYWJlMy00NDlkLWEyNjEtOTBlOTY5NzQxMzYy
(「Googleドキュメント」が開きます.File→Download Originalでダウンロードできると思います.)
当ツールは,使用・改変・転載等,全てフリーです.勝手にやって下さい.
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本ツールの使用のためには,マイクロソフトの表計算ソフト「エクセル(Excel)」が必要です.エクセルのマクロのセキュリティを,「中」または「低」に設定する必要があります.(エクセルのメニューバーで,ツール→マクロ→セキュリティ.)
本ツールに関して,改善要望・質問事項などありましたら,お気軽にコメントください.
★取り扱う解析モデル
熱伝導解析ツールでは,次のようなモデルについて,計算を行います.
a)1次元熱伝導解析ツール
図2のように,物体をx軸に沿って,N個の短冊(幅dx)に分割します.このツールでは,N=19で,固定です(図では,短冊数を省略して書いています).両端には,境界条件を与えます.境界条件は,断熱・温度一定・熱流量一定,から選べます.
時間t=0[s]における物体の温度を与えると,時間t[s]を少しずつ進めながら,各時間における物体内部の温度分布が計算されます.
なお,解析領域の材質は均質(全域が同一の材料)とします.
<図2>

詳しい計算内容については,過去の記事(→こちら)や,ソースコードを参照ください.
b)2次元熱伝導解析ツール
図3のように,長方形形状の物体を,x軸に沿ってN個,y軸に沿ってM個の短冊(幅dx×高さdy)に分割します.このツールでは,N=M=9で,固定です(図では,短冊数を省略して書いています).長方形の周囲には,境界条件を与えます.境界条件は,断熱・温度一定・熱流量一定,から選べます.
時間t=0[s]における物体の温度を与えると,時間t[s]を少しずつ進めながら,各時間における物体内部の温度分布が計算されます.
なお,解析領域の材質は均質(全域が同一の材料)とします.
<図3>

※図中,短冊数=19個とありますが,正しくは9個です.
詳しい計算内容については,過去の記事(→こちら)や,ソースコードを参照ください.
以下では,具体的な問題を例に,使い方を説明します.
a)1次元熱伝導解析ツール:ホットプレートで肉を焼く問題
b)2次元熱伝導解析ツール:オーブンでローストビーフを作る問題
★使い方:1次元熱伝導解析ツール
下図4のような問題を考えます.出力1000Wの,300mm×300mmのホットプレートの上に,肉が載っています.肉の初期温度が20℃のときに,時間の経過に対する,肉の温度変化を求めてみます.なお,実際の肉は100℃で水分が沸騰しますが,これは考えず,100℃を超えても滞りなく温度が上がるとします.
<図4>

この問題は,肉の側面から逃げる熱を無視すると,下図5のように,一次元の問題に置き換えられます.下端からは,加熱によって,一定熱流量Q[W/mm^2]が入ってきます.上端から逃げる熱は少ないとして,断熱とします.
<図5>

※図5では,短冊の分割数は,実際より省略して書いています(実際には,内部19個+両端1個ずつの分割です).
では,解析ツールを使って,この問題を解いてみます.
操作は,シートの丸数字の順に進めます.
1.「①計算条件の入力」
まず,図6-1のように,計算条件を,セルに入力します.
・時間キザミ:0.5[s] … 計算をするときの時間キザミ(ひとまず適当な値を入力)
・終了時間 :600[s] … この時間まで計算したら,計算を終了する
・間引き間隔:100[回ごと] … 計算結果を表示する間隔
・x短冊幅:0.5[mm] … 図5の通り
<図6-1>

2.「②物性値を選択」
「②物性値を選択」ボタンを,クリックします.そうすると,図6-2のように,ダイアログが開きます.(以降,図が小さいですが,図をクリックすると拡大できます.)
今回は,材質が肉です.肉の主成分は水ですので,熱的な物性は,流動しない水と考えられます.そこで,「水(流動なし)」を選びます.そうすると,次の値が,自動的に入力されます.
・熱伝導率k[W/mK]
・比熱c[J/kgK]
・密度ρ[kg/m^3]
・温度伝導率D[m^2/s]
※ダイアログにない物質を用いるときは,ダイアログを使わずに,熱伝導率・比熱・密度のセルを,自分で入力します.温度伝導率は,自動的に計算されます.
<図6-2>

3.「③初期温度を入力」
今回は,肉の初期温度は,全体に渡り20℃です.そこで,「初期値」の温度のセル(水色)に,全て20を入力します.(このセル1個1個が,図5の分割された短冊1個1個の温度に対応しています.)
<図6-3>

4.「④境界条件を設定」
図5の通り,-x側の端部の境界条件は,「一定熱流量」です.また,+x側の端部の境界条件は,「断熱」です.これらを,設定します.
まず,-x側です.図6-4の上のように,「現在値」の温度Tの左端のセル(10行9列)を選んだ後に,「④境界条件を設定」ボタンを押します.そうすると,ダイアログが開きます.(正しいセルを選択した状態でないと,ダイアログは開きません.)このダイアログで,「熱流量一定」を選び,「熱流量Q」に1000[W]を,「流入面積S」に90000[mm^2](=300mm×300mm)を,それぞれ入力します.入力したら,「OK」をクリックします.
次に,+x側です.図6-4の下のように,「現在値」の温度Tの右端のセル(10行29列)を選んだ後に,「④境界条件を設定」ボタンを押します.そうすると,ダイアログが開きます.(正しいセルを選択した状態でないと,ダイアログは開きません.)このダイアログで,「断熱」を選びます.選んだら,「OK」をクリックします.
<図6-4>


5.「⑤計算開始」
以上の入力が終わったら,「⑤計算開始」をクリックします.しばらく待っていると,「以下,計算結果データ」の箇所に,計算結果が表示されます(図6-5).この結果データは,各行が,各時間tに対する温度分布を示しています.
計算途中でも,[ESC]キーを押すと,計算を中断できます.(「コードの実行が中断されました」と出るので,「中止」をクリックして下さい.)
また,計算中に,結果の表示がおかしくなった場合(「#NUM」と表示されるなど)には,1.で設定した時間キザミが大きすぎる可能性があります.一旦計算を中断して,時間キザミを小さく(例えば1/10に)してから,再度試してみてください.
<図6-5>

計算結果は,エクセルのグラフ機能を使って,簡単にグラフ化できます.例えば,
・各時間における,温度分布のグラフ(図6-6上のように参照データ範囲を選択)
・各位置における,温度の時間変化のグラフ(図6-6下のように参照データ範囲を選択)
<図6-6>


★使い方:2次元熱伝導解析ツール
下図7のような問題を考えます.オーブンの中に,幅600mm×厚さ400mmの肉を置いて,ローストビーフを作ろうとしています.オーブンの中には,温度ムラがあり,肉の上面は200℃,側面は100℃,底面は50℃だとします.肉の初期温度が20℃のときに,時間の経過に対する,肉の温度変化を求めてみます.なお,実際の肉は100℃で水分が沸騰しますが,これは考えず,100℃を超えても滞りなく温度が上がるとします.
<図7>

この問題は,肉の奥行き方向長さLが十分長い(例えば幅・厚さの3倍程度)として,この方向の熱の流れを無視すると,下図8のように,2次元の問題に置き換えられます.肉の周囲が,一定温度に保たれるとします.
<図8>

※図8では,短冊の分割数は,実際より省略して書いています(実際には,内部9個×9個+周囲1個ずつの分割です).
では,解析ツールを使って,この問題を解いてみます.
操作は,シートの丸数字の順に進めます.大まかな手順は,1次元のツールと同じです.
1.「①計算条件の入力」
まず,図9-1のように,計算条件を,セルに入力します.
・時間キザミ:1[s] … 計算をするときの時間キザミ(ひとまず適当な値を入力)
・終了時間 :600[s] … この時間まで計算したら,計算を終了する
・間引き間隔:100[回ごと] … 計算結果を表示する間隔
・x短冊幅:6[mm] … 図8の通り
・y短冊幅:4[mm] … 図8の通り
<図9-1>

2.「②物性値を選択」
「②物性値を選択」ボタンを,クリックします.そうすると,図9-2のように,ダイアログが開きます.(以降,図が小さいですが,図をクリックすると拡大できます.)
今回は,材質が肉です.肉の主成分は水ですので,熱的な物性は,流動しない水と考えられます.そこで,「水(流動なし)」を選びます.そうすると,次の値が,自動的に入力されます.
・熱伝導率k[W/mK]
・比熱c[J/kgK]
・密度ρ[kg/m^3]
・温度伝導率D[m^2/s]
※ダイアログにない物質を用いるときは,ダイアログを使わずに,熱伝導率・比熱・密度のセルを,自分で入力します.温度伝導率は,自動的に計算されます.
<図9-2>

※上図では「鋼」を選んでいますが,正しくは「水(流動なし)」を選択してください.
3.「③初期温度を入力」
今回は,肉の初期温度は,全体に渡り20℃です.そこで,「初期値」の温度のセル(水色)に,全て20を入力します.(このセル1個1個が,図8の分割された短冊1個1個の温度に対応しています.)
<図9-3>

4.「④境界条件を設定」
図8の通り,境界条件は,上端が200℃,左端と右端が100℃,下端が50℃で,温度一定の条件です.
上端を例に,設定方法を説明します.図9-4のように,「現在値」の温度Tの上端のセル(色が違うセル,20行10~18列)を選択(ドラッグして一括選択)した後に,「④境界条件を設定」ボタンを押します.そうすると,ダイアログが開きます.(正しいセルを選択した状態でないと,ダイアログは開きません.)このダイアログで,「温度一定」を選び,「温度T」に200[℃]を入力します.入力したら,「OK」をクリックします.
同様にして,左端・右端・下端の境界条件も,設定します.
<図9-4>

5.「⑤計算開始」
以上の入力が終わったら,「⑤計算開始」をクリックします.しばらく待っていると,「以下,計算結果データ」の箇所に,計算結果が表示されます(図9-5).この結果データは,各時間tにおける温度分布を示しています.
計算途中でも,[ESC]キーを押すと,計算を中断できます.(「コードの実行が中断されました」と出るので,「中止」をクリックして下さい.)
また,計算中に,結果の表示がおかしくなった場合(「#NUM」と表示されるなど)には,1.で設定した時間キザミが大きすぎる可能性があります.一旦計算を中断して,時間キザミを小さく(例えば1/10に)してから,再度試してみてください.
<図9-5>

計算結果は,エクセルのグラフ機能を使って,簡単にグラフ化できます.例えば,
・ある時間における,温度分布のカラーグラフ(図9-6のように参照データ範囲を選択.左上の飛び地の空白セルも選択する必要があるので,注意)
<図9-6>

本ツールに関して,改善要望・質問事項などありましたら,お気軽にコメントください.
(補足)
本ツールは,最小限の機能のみを付与したため,いろいろな制限があります.例えば,
・単一物質の場合しか,解析できない.
・短冊の分割数が,変更できない.
・2次元解析では,長方形形状しか解析できない.
・短冊の幅が全て同一の場合しか,解析できない.
・境界条件の種類が,限られている.(表面の熱伝達率一定などを,考慮できない.)
こうした制限は,エクセルのVBAに慣れた方ならば,それほど手間をかけずに改造可能だと思います.
【今回の結論】
1次元および2次元の,熱伝導解析ツールを紹介しました.
料理工学を学ぶ皆様,日々の学習に,どうぞご利用ください.(もちろん,料理工学以外にも使えます.)
昨日に続き,今日も完全に趣味の世界です.長々と申し訳ありません.
こんな内容ですが,応援してくれるかなあ.
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![]() 貴重な数値計算ありがとうございます。大変参考になりました。エクセルも使いやすく重宝しております。ご要望としてあげさせていただきまいのですが、鍋の幅や厚さを変えれるようにできますでしょうか?今のエクセルですと刻み幅を変えて鍋の幅や厚さを変えるしかできないと思うのですが、、。
あと本エクセルは熱伝導のみですが、たとえば1方向に移流があった場合に対応したエクセルを作っていただくことは可能でしょうか? 以上新参者ですが、ご教授いただけると幸いです。 ![]() > カンカン さん
計算用エクセル、ご利用くださいまして嬉しいです。だいぶ前のツールですので、ごめんなさい、内容を忘れてしまいました。また、あいにく、ネットを使えない環境になってしまいますので、回答はしばらくお待ちください。 ご訪問ありがとうございます。 マツジョン | URL | 2015/10/02/Fri 22:07 [編集]
![]() > カンカン さん
間が空いてしまいました。マクロ内容を参照しようとしたのですが、当時からPCを入れ替えており、エクセルVBAが使えない状態になってしまいました。申し訳ないのですが、改造に対応できません。 1)計算対象の幅や厚さの変更は、刻み幅を替えることで対応する仕様です。分割数を変えるには、シート構成とマクロをいじる必要があります。 2)熱伝導+熱伝達の問題については、支配方程式から見直しが必要ですが、現在マクロを編集できる環境にありません。このため、残念ながら、こちらも対応できません。 お時間を頂いて申し訳ありませんが、あしからずご了承くださいませ。 マツジョン | URL | 2015/10/13/Tue 22:09 [編集]
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