【今日の料理】 2011/12/9 夕食
今日は,インフルエンザの予防接種を受けました.娘(9.9ヶ月)も受ける予定でしたが,このところ,やけどやカゼで体調が万全でない(元気はすこぶる良いですが)ので,見送りました.妻と私だけ,受けました.娘の分は,延期できました.しかし,乳児の場合は2回注射しなければならないため,完了は来年になってしまいます.

★米飯
★みそ汁,ほうれん草
★いりどり
圧力鍋,加圧5分.材料は,鶏もも肉・人参・れんこん・しいたけ.軽く炒めてから,煮ました.煮込み時間が長すぎたためか,「れんこんのシャキシャキ感がなく,がっかりした.」と,妻は言っていました.
★ソーキ
妻が作りました.いつもの豚バラでなく,豚スペアリブを使用しました.脂が少ない分,あっさりした仕上がりでした.私は,こちらのほうが好みです.
★ミニトマト
★キムチ
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【今日の料理工学】 水から煮る?湯から煮る?~煮物の温度変化の違い
「野菜を煮る(ゆでる)」ことは,料理の基本と言えそうです.
「煮る(ゆでる)」は単純な調理方法ですが,野菜によって,「水から煮る」べきものと,「湯から煮る」べきものがあるようです.一般的には,「葉物は湯から」,「根菜は水から」,と言われているようです.この根拠は,どういったものなのでしょうか?
水から煮る場合と,湯から煮る場合では,材料の温度変化の経過が異なると考えられます.そこで今回は,水から煮た場合と,湯から煮た場合で,材料の温度変化を比較してみます.
★数値計算で温度変化を求める方法
数値計算によって,材料内部の温度変化を調べます.
下図1のように,厚さh[mm]の材料(大根など)を考えます.この材料を,湯(または水)の中に入れます.湯の温度をT0[℃]とします.水から煮る場合は,T0は時間とともに上昇します.湯から煮る場合は,T0は常に100℃を保つとします.材料の中心に原点をとり,材料の厚み方向にx軸をとります.
<図1>

このとき,材料内部の温度分布および時間変化は,次式1の「熱伝導方程式」に支配されます.(材料の厚み方向以外の方向への熱の流れは,無視します.)
<式1>

ここで,
x:位置[m]
t:時間[s]
D:温度伝導率[m^2/s]=λ/ρ・c
λ:熱伝導率[W/m・K]
ρ:密度[kg/m^3]
c:比熱[J/kg・K]
今回は,以前,哺乳ビンの温度分布を解析しようとしたときに用いたのと同じ方法で,式1を数値的に解きます.すなわち,式1の右辺を差分法で,左辺をオイラー法で離散化することで,数値計算を行います.(詳しくは,以前の記事を参照ください.)
計算条件は,次のようにしました.
●計算対象
・材料の熱伝導率・密度・比熱:水と同一とする.(食材の主成分は水なので)
・熱伝導率:λ=0.6[W/m・K]…水の値[1]
・密度 :ρ=1000[kg/m^3]…水の値[1]
・比熱 :c=4200[J/kg・K]…水の値[1]
・材料の厚さ:h=20mm
[1]畑村編;続・実際の設計,日刊工業新聞社,(1992)
●境界条件
材料の初期温度=20[℃]としました.水の温度(=材料表面の温度)は,次のように決めます.
a)水から煮る
材料表面の温度T0[℃]を,次のようにします.
T0=v×t+T00
ここで,
・v :加熱速度(水の温度が上がる速度)[℃/s]
・t :時間[s]
・T00:水の初期温度=20[℃]とする.
加熱速度vは,ガスコンロの加熱速度を実測した過去の記事を参考に,次のように決めました.
v=(η×W)÷(c×m)
ここで,
・W:ガスコンロの消費熱量=3000[W]
・η:ガスコンロの効率 =0.3
・c:水の比熱=4200[J/kg・K]
・m:煮るのに使う水の量[kg]
今回は,水の量を1リットル=1[kg]とします.そうすると,v=0.21[℃/s]となります.
b)湯から煮る
材料表面の温度T0=100[℃](一定)とします.
●計算モデル
厚み方向に,19分割しました.
以上の計算条件で,計算を行いました.
★温度変化の比較
温度分布の計算結果を,下図2に示します.水から煮た場合と,湯から煮た場合の計算結果です.横軸は位置(0が中央,±10[mm]が材料の表面),縦軸は温度です.材料投入後の経過時間が異なる,いくつかの分布を示しています.
<図2>
a)水から煮る

b)湯から煮る

水から煮た場合は,材料表面の温度が上がり,中央の温度も上がっていきます.これに対して,湯から煮た場合は,材料表面の温度は一定(100℃)で,中央の温度が上がります.
図3は,材料の中央(x=0)の温度の時間変化です.横軸は時間,縦軸は温度です.水から煮た場合と,湯から煮た場合を比較して示しています.
このグラフの「時間」は,水の加熱を開始した時間としました.すなわち,湯から煮る場合には,水から湯が沸くまでの時間(6.3min)だけ,材料の加熱開始時間がシフトしています.
<図3>

ここでは仮に,「材料に火が通る」の定義を,「材料の中心が90℃になる」としてみます.そうすると,火が通るまでに要する時間は,次のようになります.
a)水から煮る
火が通る時間=材料を煮る時間=14.5min
b)湯から煮る
火が通る時間=湯を沸かす時間6.3min+材料を煮る時間11.0min=17.3min
つまり,湯から煮る場合には,最初から高温の湯を用いますので,材料を入れてから火が通るまでの時間は,約3.5min短くなります.しかし,湯を沸かすのに時間を要します.このため,総調理時間は,湯から煮たほうが時間がかかります.
★水から煮るか,湯から煮るか?
以上から,水から煮る場合と湯から煮る場合の利点と欠点を,比較してみます.
a)水から煮る
・利点:調理にかかる総時間が,短くて済む.
・欠点:材料が湯に漬かっている時間が,長くなる.
b)湯から煮る
・利点:材料が湯に使っている時間が,短くて済む.
・欠点:調理にかかる総時間が,長くなる.
以上の利点と欠点を踏まえると,水から煮るか湯から煮るかは,次のように使い分けると良さそうです.これは,よく言われている見解と,一致します.
a)水から煮る
・根菜などに向く.調理時間が短くて済む.
b)湯から煮る
・葉物などに向く.熱による葉の変色を防ぎやすい.
【今回の結論】
水から煮るか湯から煮るかは,次のように使い分けると良さそうです.
・根菜は,水から煮ると,調理時間が短くできそうです.
・葉物は,湯から煮ると,熱による葉の変色を防げそうです.
私の場合,根菜も葉物も水から圧力鍋で煮ます.野菜のエグみが存分に引き出されるので,妻にはとても評判が悪いです.
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★米飯
★みそ汁,ほうれん草
★いりどり
圧力鍋,加圧5分.材料は,鶏もも肉・人参・れんこん・しいたけ.軽く炒めてから,煮ました.煮込み時間が長すぎたためか,「れんこんのシャキシャキ感がなく,がっかりした.」と,妻は言っていました.
★ソーキ
妻が作りました.いつもの豚バラでなく,豚スペアリブを使用しました.脂が少ない分,あっさりした仕上がりでした.私は,こちらのほうが好みです.
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【今日の料理工学】 水から煮る?湯から煮る?~煮物の温度変化の違い
「野菜を煮る(ゆでる)」ことは,料理の基本と言えそうです.
「煮る(ゆでる)」は単純な調理方法ですが,野菜によって,「水から煮る」べきものと,「湯から煮る」べきものがあるようです.一般的には,「葉物は湯から」,「根菜は水から」,と言われているようです.この根拠は,どういったものなのでしょうか?
水から煮る場合と,湯から煮る場合では,材料の温度変化の経過が異なると考えられます.そこで今回は,水から煮た場合と,湯から煮た場合で,材料の温度変化を比較してみます.
★数値計算で温度変化を求める方法
数値計算によって,材料内部の温度変化を調べます.
下図1のように,厚さh[mm]の材料(大根など)を考えます.この材料を,湯(または水)の中に入れます.湯の温度をT0[℃]とします.水から煮る場合は,T0は時間とともに上昇します.湯から煮る場合は,T0は常に100℃を保つとします.材料の中心に原点をとり,材料の厚み方向にx軸をとります.
<図1>

このとき,材料内部の温度分布および時間変化は,次式1の「熱伝導方程式」に支配されます.(材料の厚み方向以外の方向への熱の流れは,無視します.)
<式1>

ここで,
x:位置[m]
t:時間[s]
D:温度伝導率[m^2/s]=λ/ρ・c
λ:熱伝導率[W/m・K]
ρ:密度[kg/m^3]
c:比熱[J/kg・K]
今回は,以前,哺乳ビンの温度分布を解析しようとしたときに用いたのと同じ方法で,式1を数値的に解きます.すなわち,式1の右辺を差分法で,左辺をオイラー法で離散化することで,数値計算を行います.(詳しくは,以前の記事を参照ください.)
計算条件は,次のようにしました.
●計算対象
・材料の熱伝導率・密度・比熱:水と同一とする.(食材の主成分は水なので)
・熱伝導率:λ=0.6[W/m・K]…水の値[1]
・密度 :ρ=1000[kg/m^3]…水の値[1]
・比熱 :c=4200[J/kg・K]…水の値[1]
・材料の厚さ:h=20mm
[1]畑村編;続・実際の設計,日刊工業新聞社,(1992)
●境界条件
材料の初期温度=20[℃]としました.水の温度(=材料表面の温度)は,次のように決めます.
a)水から煮る
材料表面の温度T0[℃]を,次のようにします.
T0=v×t+T00
ここで,
・v :加熱速度(水の温度が上がる速度)[℃/s]
・t :時間[s]
・T00:水の初期温度=20[℃]とする.
加熱速度vは,ガスコンロの加熱速度を実測した過去の記事を参考に,次のように決めました.
v=(η×W)÷(c×m)
ここで,
・W:ガスコンロの消費熱量=3000[W]
・η:ガスコンロの効率 =0.3
・c:水の比熱=4200[J/kg・K]
・m:煮るのに使う水の量[kg]
今回は,水の量を1リットル=1[kg]とします.そうすると,v=0.21[℃/s]となります.
b)湯から煮る
材料表面の温度T0=100[℃](一定)とします.
●計算モデル
厚み方向に,19分割しました.
以上の計算条件で,計算を行いました.
★温度変化の比較
温度分布の計算結果を,下図2に示します.水から煮た場合と,湯から煮た場合の計算結果です.横軸は位置(0が中央,±10[mm]が材料の表面),縦軸は温度です.材料投入後の経過時間が異なる,いくつかの分布を示しています.
<図2>
a)水から煮る

b)湯から煮る

水から煮た場合は,材料表面の温度が上がり,中央の温度も上がっていきます.これに対して,湯から煮た場合は,材料表面の温度は一定(100℃)で,中央の温度が上がります.
図3は,材料の中央(x=0)の温度の時間変化です.横軸は時間,縦軸は温度です.水から煮た場合と,湯から煮た場合を比較して示しています.
このグラフの「時間」は,水の加熱を開始した時間としました.すなわち,湯から煮る場合には,水から湯が沸くまでの時間(6.3min)だけ,材料の加熱開始時間がシフトしています.
<図3>

ここでは仮に,「材料に火が通る」の定義を,「材料の中心が90℃になる」としてみます.そうすると,火が通るまでに要する時間は,次のようになります.
a)水から煮る
火が通る時間=材料を煮る時間=14.5min
b)湯から煮る
火が通る時間=湯を沸かす時間6.3min+材料を煮る時間11.0min=17.3min
つまり,湯から煮る場合には,最初から高温の湯を用いますので,材料を入れてから火が通るまでの時間は,約3.5min短くなります.しかし,湯を沸かすのに時間を要します.このため,総調理時間は,湯から煮たほうが時間がかかります.
★水から煮るか,湯から煮るか?
以上から,水から煮る場合と湯から煮る場合の利点と欠点を,比較してみます.
a)水から煮る
・利点:調理にかかる総時間が,短くて済む.
・欠点:材料が湯に漬かっている時間が,長くなる.
b)湯から煮る
・利点:材料が湯に使っている時間が,短くて済む.
・欠点:調理にかかる総時間が,長くなる.
以上の利点と欠点を踏まえると,水から煮るか湯から煮るかは,次のように使い分けると良さそうです.これは,よく言われている見解と,一致します.
a)水から煮る
・根菜などに向く.調理時間が短くて済む.
b)湯から煮る
・葉物などに向く.熱による葉の変色を防ぎやすい.
【今回の結論】
水から煮るか湯から煮るかは,次のように使い分けると良さそうです.
・根菜は,水から煮ると,調理時間が短くできそうです.
・葉物は,湯から煮ると,熱による葉の変色を防げそうです.
私の場合,根菜も葉物も水から圧力鍋で煮ます.野菜のエグみが存分に引き出されるので,妻にはとても評判が悪いです.
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![]() はじめまして
すごく面白いブログですね、こうやって数式やグラフで示されるとスッキリしますね、料理の世界って科学的に考えて「そんなことないんじゃないかな」と思うことが沢山ありますね。 また遊びに来ます! かおりんぱっぷ | URL | 2011/12/19/Mon 09:45 [編集]
![]() > かおりんぱっぷ さん
ありがとうございます。 よく、「数式を入れると読者が減る」と言われますが、私は数式があったほうが理解しやすいクチです。 料理は、作るのも楽しいですが、科学的に考えるのも、けっこう面白いと思います。 マツジョン | URL | 2011/12/19/Mon 17:09 [編集]
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