【今日の料理】 2011/10/24 夕食
今日は,妻と娘(8.4ヶ月)は,午前中は妻沼の子育てサロンに,午後は育児仲間のお宅へ遊びに行きました.その間,私は家で留守番.久しぶりに,一人きりでの時間を過ごしました.妻と娘がいないと,すこぶる気楽ですが,少し寂しくもあります.

★米飯
★カレー
圧力鍋,加圧2分.具は,豚肉・たまねぎ・人参・じゃがいも.ルウは,ハウス「こくまろ」カレー.ルウを加える前に,具を取り分けて,娘の離乳食にしました.
★魚介ダシダスープ,糸みつば・わかめ・鶏ささみ
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【今日の料理工学】 割れにくいガラス食器~耐熱ガラスと強化ガラス
ガラス食器は,食卓に欠かせません.我が家では,毎朝のグレープフルーツジュースはガラスのコップです.また,サラダや刺身などは,ガラスの器に盛ると,下手な料理でも,なんだか美しく見えます.
こうしたガラス食器の欠点は,なんといっても,「割れやすい」点にあると思います.我が家では,そそっかしい大人が2人いますので,しょっちゅうガラス食器を破壊しています(図1).
<図1>

★割れにくいガラスいろいろ
通常の食器に用いられるガラスは,「ソーダガラス(ソーダライムガラス,ソーダ石灰ガラス)」というものが,一般的のようです[1].
[1]岩城ハウスウェア;ガラスのお話
https://www.igc.co.jp/know/story/
これに対して,「割れにくい」ガラスとしては,以下のようなものがあるようです.
a)耐熱ガラス:「パイレックス(PYREX)」など
b)強化ガラス:「デュラレックス(DURALEX)」など
c)多層ガラス:「コレール(Corelle,コーレル)」など
それぞれについて,調べてみました.
a)耐熱ガラス
ガラスは,急激に加熱したり冷却したりすると,割れることがあります.例えば,冷蔵庫で冷やしたガラスに熱湯を注ぐと,割れることがあります.
ガラスが,急激な温度変化によって割れやすいのは,次の要因によります.
A)熱伝導率が,低い.
B)線膨張係数が,大きい.
C)縦弾性係数(ヤング率)が,大きい.
D)引張強度が,小さい.
いま,図2のような円筒状のガラスを考えます.外面を室温=20℃に保ち,内面を急に100℃まで熱したとします.そうすると,
A)熱伝導率が低い(鋼材の1/100程度)ので,外面と内面の温度差が,なかなかなくならない.
B)線膨張係数が大きい(鋼材と同程度)ので,内面が大きく膨張しようとする.このとき,内面の膨張に伴って,外面も膨らもうとする.このため,外面には,引張ひずみが生じる.
C)縦弾性係数が大きい(鋼材の1/3程度)ので,引張ひずみによる引張応力が大きくなる.
D)引張強度が低い(鋼材の1/10程度)ため,引張応力によって,外面が破断する.
<図2>

したがって,温度変化による割れを防ぐためには,次の対策が有効です.
A’)熱伝導率を,高くする.
B’)線膨張係数を,小さくする.
C’)縦弾性係数を,小さくする.
D’)引張強度を,大きくする.
一般的に「耐熱ガラス」と呼ばれるもの,たとえば「パイレックス」では,B’)線膨張係数を小さくする,ことによって,温度変化への耐性を増しているようです.普通のガラスと耐熱ガラスの物性値は,次の通りです[2].
●普通のガラス:ソーダガラス無強化品
・熱伝導率 :2.86[W/mK]
・線膨張係数:93.5×10^-7[1/K]
・曲げ強度 :(記載なし)
●耐熱ガラス :パイレックス7740徐冷品
・熱伝導率 :1.09[W/mK]
・線膨張係数:32.5×10^-7[1/K]
・曲げ強度 :約50MPa
[2]山善特殊硝子製作所;参考資料
https://www.yamazenglass.co.jp/sankou.htm
耐熱ガラスでは,普通のガラスよりも線膨張係数が約1/3になっています.パイレックスは,「ホウケイ酸ガラス」と呼ばれるもので,「ホウ酸」を含むのが,成分上の特徴です.
b)強化ガラス
強化ガラスは,外力による破損を防ぐものです.強化ガラスは,所望の形状に成形したガラス製品を,熱処理したものです.熱処理は,加熱後に冷風などで急冷するもののようです[3].
[3]大壁商事;ガラスの種類辞典-強化ガラス
https://www.glass-dictionary.com/kyouka/
ガラス表面を急冷すると,表面が先に硬くなります.その後で,内部が冷えるとともに,縮んでいきます.内部が縮むと,表面も縮もうとします.これによって,ガラス製品の表面には,圧縮応力が与えられます.
外力によって,ガラス表面に引張応力が加わっても,あらかじめ与えられた圧縮応力によって,打ち消されます.このため,通常のガラス製品よりも,大きな引張応力に,耐えることができます.(ガラスでは,圧縮強度に比べて引張強度が小さいので,引張応力が破壊の主要因になります.)
強化ガラスは,表面の引張応力に強いので,温度変化にも耐性が強いはずです.また,耐熱ガラスを強化ガラスにすることもできるようです[3].
強化ガラスは,表面に圧縮応力が与えられています.このため,一箇所にキズが入ると,自らの圧縮応力によって破壊が進行して,粉々に砕け散るそうです.破壊後には,細かい破片になるので,普通のガラスよりも安全性が高いとされます.
c)多層ガラス
多層ガラスは,複数の種類のガラスを積層したものです.代表的なものに,「コレール」があります[4].コレールは,フリスビーのように投げても壊れない[5]らしいです.
[4]岩城ハウスウェア;コレール
https://www.igc.co.jp/product/corelle/
[5]エバハート;ものが壊れるわけ,河出書房新社,(2004)
コレールは,線膨張係数の異なる2種類のガラスを,3層に積層しているようです.
・上側の層:線膨張係数が小さいガラス(透明)
・中心の層:線膨張係数が大きいガラス(乳白色)
・下側の層:線膨張係数が小さいガラス(透明)
この3層を,加熱した状態で接合し,室温まで冷却します.そうすると,中心の層が大きく縮みます.上下側の層も,中心の層にひきずられて縮みます.すなわち,上下側の層には,圧縮応力が生じます.この圧縮応力は,強化ガラスの場合と同様に,外力や温度変化への耐性をもたらすと,考えられます.
【今回の結論】
割れにくいガラスには,次のものがあります.
・耐熱ガラス:線膨張係数が小さい.
・強化ガラス:成形後に熱処理して,表面に圧縮応力を付与.
・複合ガラス:複数のガラスを積層して,表面に圧縮応力を付与.
我が家のガラス食器は,次々に割れています.割れていないものを見ると,「デュラレックス」でした.耐熱ガラスの強さが,証明されています.
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★米飯
★カレー
圧力鍋,加圧2分.具は,豚肉・たまねぎ・人参・じゃがいも.ルウは,ハウス「こくまろ」カレー.ルウを加える前に,具を取り分けて,娘の離乳食にしました.
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【今日の料理工学】 割れにくいガラス食器~耐熱ガラスと強化ガラス
ガラス食器は,食卓に欠かせません.我が家では,毎朝のグレープフルーツジュースはガラスのコップです.また,サラダや刺身などは,ガラスの器に盛ると,下手な料理でも,なんだか美しく見えます.
こうしたガラス食器の欠点は,なんといっても,「割れやすい」点にあると思います.我が家では,そそっかしい大人が2人いますので,しょっちゅうガラス食器を破壊しています(図1).
<図1>

★割れにくいガラスいろいろ
通常の食器に用いられるガラスは,「ソーダガラス(ソーダライムガラス,ソーダ石灰ガラス)」というものが,一般的のようです[1].
[1]岩城ハウスウェア;ガラスのお話
https://www.igc.co.jp/know/story/
これに対して,「割れにくい」ガラスとしては,以下のようなものがあるようです.
a)耐熱ガラス:「パイレックス(PYREX)」など
b)強化ガラス:「デュラレックス(DURALEX)」など
c)多層ガラス:「コレール(Corelle,コーレル)」など
それぞれについて,調べてみました.
a)耐熱ガラス
ガラスは,急激に加熱したり冷却したりすると,割れることがあります.例えば,冷蔵庫で冷やしたガラスに熱湯を注ぐと,割れることがあります.
ガラスが,急激な温度変化によって割れやすいのは,次の要因によります.
A)熱伝導率が,低い.
B)線膨張係数が,大きい.
C)縦弾性係数(ヤング率)が,大きい.
D)引張強度が,小さい.
いま,図2のような円筒状のガラスを考えます.外面を室温=20℃に保ち,内面を急に100℃まで熱したとします.そうすると,
A)熱伝導率が低い(鋼材の1/100程度)ので,外面と内面の温度差が,なかなかなくならない.
B)線膨張係数が大きい(鋼材と同程度)ので,内面が大きく膨張しようとする.このとき,内面の膨張に伴って,外面も膨らもうとする.このため,外面には,引張ひずみが生じる.
C)縦弾性係数が大きい(鋼材の1/3程度)ので,引張ひずみによる引張応力が大きくなる.
D)引張強度が低い(鋼材の1/10程度)ため,引張応力によって,外面が破断する.
<図2>

したがって,温度変化による割れを防ぐためには,次の対策が有効です.
A’)熱伝導率を,高くする.
B’)線膨張係数を,小さくする.
C’)縦弾性係数を,小さくする.
D’)引張強度を,大きくする.
一般的に「耐熱ガラス」と呼ばれるもの,たとえば「パイレックス」では,B’)線膨張係数を小さくする,ことによって,温度変化への耐性を増しているようです.普通のガラスと耐熱ガラスの物性値は,次の通りです[2].
●普通のガラス:ソーダガラス無強化品
・熱伝導率 :2.86[W/mK]
・線膨張係数:93.5×10^-7[1/K]
・曲げ強度 :(記載なし)
●耐熱ガラス :パイレックス7740徐冷品
・熱伝導率 :1.09[W/mK]
・線膨張係数:32.5×10^-7[1/K]
・曲げ強度 :約50MPa
[2]山善特殊硝子製作所;参考資料
https://www.yamazenglass.co.jp/sankou.htm
耐熱ガラスでは,普通のガラスよりも線膨張係数が約1/3になっています.パイレックスは,「ホウケイ酸ガラス」と呼ばれるもので,「ホウ酸」を含むのが,成分上の特徴です.
b)強化ガラス
強化ガラスは,外力による破損を防ぐものです.強化ガラスは,所望の形状に成形したガラス製品を,熱処理したものです.熱処理は,加熱後に冷風などで急冷するもののようです[3].
[3]大壁商事;ガラスの種類辞典-強化ガラス
https://www.glass-dictionary.com/kyouka/
ガラス表面を急冷すると,表面が先に硬くなります.その後で,内部が冷えるとともに,縮んでいきます.内部が縮むと,表面も縮もうとします.これによって,ガラス製品の表面には,圧縮応力が与えられます.
外力によって,ガラス表面に引張応力が加わっても,あらかじめ与えられた圧縮応力によって,打ち消されます.このため,通常のガラス製品よりも,大きな引張応力に,耐えることができます.(ガラスでは,圧縮強度に比べて引張強度が小さいので,引張応力が破壊の主要因になります.)
強化ガラスは,表面の引張応力に強いので,温度変化にも耐性が強いはずです.また,耐熱ガラスを強化ガラスにすることもできるようです[3].
強化ガラスは,表面に圧縮応力が与えられています.このため,一箇所にキズが入ると,自らの圧縮応力によって破壊が進行して,粉々に砕け散るそうです.破壊後には,細かい破片になるので,普通のガラスよりも安全性が高いとされます.
c)多層ガラス
多層ガラスは,複数の種類のガラスを積層したものです.代表的なものに,「コレール」があります[4].コレールは,フリスビーのように投げても壊れない[5]らしいです.
[4]岩城ハウスウェア;コレール
https://www.igc.co.jp/product/corelle/
[5]エバハート;ものが壊れるわけ,河出書房新社,(2004)
コレールは,線膨張係数の異なる2種類のガラスを,3層に積層しているようです.
・上側の層:線膨張係数が小さいガラス(透明)
・中心の層:線膨張係数が大きいガラス(乳白色)
・下側の層:線膨張係数が小さいガラス(透明)
この3層を,加熱した状態で接合し,室温まで冷却します.そうすると,中心の層が大きく縮みます.上下側の層も,中心の層にひきずられて縮みます.すなわち,上下側の層には,圧縮応力が生じます.この圧縮応力は,強化ガラスの場合と同様に,外力や温度変化への耐性をもたらすと,考えられます.
【今回の結論】
割れにくいガラスには,次のものがあります.
・耐熱ガラス:線膨張係数が小さい.
・強化ガラス:成形後に熱処理して,表面に圧縮応力を付与.
・複合ガラス:複数のガラスを積層して,表面に圧縮応力を付与.
我が家のガラス食器は,次々に割れています.割れていないものを見ると,「デュラレックス」でした.耐熱ガラスの強さが,証明されています.
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