太陽系の外縁に存在が予測されるプラネットX。アプリで手がかりを集め、位置を特定する推理パズル。
子供たちと遊ぶのを前提に、新発売・未発売のボードゲームの購入を検討する記事です。今回は2020年発売「惑星Xの探索(The Search for Planet X;惑星エックスの探索/惑星エックスを探せ)」。日本語版は、2022年12月、数奇ゲームスから発売。

画像出典:Foxrot, Renegade Game Studios; The Search for Planet X 英語版ルールブック(2020)
★ゲーム内容の確認
1)テーマ
・年代:現代
・場所:地球・天体研究所
・プレイヤーの立場:天文学者
・目的:プラネット・エックスの位置を特定すること。
・行うこと:
・手がかりを集め、各エリアにある物体を予測する。
・予測を検証し、正誤を確認する。
・学会を開き、新たな知見を共有する。
2)ルール
○基本システム
・専用アプリからのヒント取得による論理的推理。
・推理結果の共通ボードへの提示(勝利点の獲得)。
○主要物品
・共通ボード:
・太陽系:各エリアにある物体を推理する。
・地球盤:探索可能な範囲を示す。
・順番トラック:最後尾の人が手番をとる。
・個人エリア:
・ついたて :推理シートを隠す。
・推理シート:手がかりを記録する。
・推理チップ:推理結果を共通ボードに示す。
・照準チップ:照準アクションで消費。
・アプリ:専用のアプリを用いる。
○大まかな手順
1)ラウンド制。終了条件を満たすまで続ける。
2)順番トラックで最後尾の人が、手番をとる。
3)手番では、以下を順に行う。
①アクション1個を選び、実行する。
②アクションに応じた数だけ、順番トラックを進める。
③地球盤を、必要なだけ回す。
④地球盤の位置に応じ、以下を行う。
・会議→アプリを操作し、新たな手がかりを開示する。
・論文→全員、推理チップを置く機会を持つ。
6)誰かがプラネットXを見つけたら、以下を行う。
①その人は手番を終え、順番トラックを進める。
②順番トラックで後ろの人は、以下いずれかを行える。
a)推理チップ1~2個を置く。
b)プラネットXの発見アクションを行う。
③アプリを操作し、全物体の位置を明かす。
④すべての推理チップを表にして、正誤判定する。
7)以上でゲーム終了。
○勝敗
・ゲーム終了後、得点を集計し、いちばん高い人が勝ち。
・得点源:発見した物体ごとの得点。
○アクション
a)捜索:物体とエリア範囲を指定し、アプリに入力
→範囲内のその物体の数が分かる。
b)照準:エリアを指定し、アプリに入力
→そのエリアの物体の名称が分かる。
※ゲーム中、2回だけ行える。
c)公報:アプリから、追加のヒント1個を得る。
※2手番続けてはできない。
d)発見:プラネットXの位置と、両隣の物体を入力
→正解すれば、ゲーム終了トリガ。
○特徴的な要素
- 太陽系の12エリアには、いずれかの物体がある。
- イ)彗星 :2個。所定5エリアのいずれかにある。
- ロ)ガス雲:2個。空間の隣にある。
- ハ)準惑星:1個。プラネットXに隣接しない。
- ニ)小惑星:4個。ほかの小惑星の隣にある。
- ホ)空間 :2個。本当になにもないエリア。
- ヘ)プラネットX:1個。探索では空間と認識される。
- イ)彗星 :2個。所定5エリアのいずれかにある。
- 専用アプリから、手がかりを集める。
- ゲーム開始時、個人別の初期手がかりを得る。
- アクションにより、新たな手がかりを得る。
- 得た手がかりは、秘密情報となる。
- 手がかりは、推理シートに記録する。
- ゲーム開始時、個人別の初期手がかりを得る。
- 物体の位置が分かったら、推理チップを置く。
- 地球盤が論文を示したときに置ける。
- 論文を示すたびに、置いたチップは前進する。
- チップが最終マスに着いたら、表向きにする。
- 表にしたらアプリに入力して、答え合わせをする。
- 正解ならチップは留まる。終了時得点。
- 間違いならチップは回収。
- 地球盤が論文を示したときに置ける。
- 時間トラックで最後尾の人が、手番をとる。
- アクションごとに定められた歩数だけコマを進める。
- 推理チップで間違ったときも、コマを進める。
- アクションごとに定められた歩数だけコマを進める。
- 探索エリアが12→18に増す、応用ゲームがある。
3)入手性
・日本語版:あり(数奇ゲームズ、2022/12)
・定価:6380円
★考察:「惑星エックスの探索」の魅力と懸念点
◎魅力を感じた点
- 推理パズル。12個のエリアに、6種類の物体が、それぞれ決められた数ずつ存在する。各物体は、相互に特定の関係(どれはどれの隣にある、など)を持つ。これに加えて、毎ゲーム、アプリが提示する異なる追加条件がある。要するに、記念写真の並び順の断片的な手がかりから、語り手がどの場所にいるかを推定するような、その種の論理パズルになっている。これは、私の家族はかなり好きなジャンル。まさかボードゲームで、このようなパズルを楽しめる日が来るとは。ぜひ遊びたい。 実際に存在が議論されている「惑星エックス」を探すという理系テーマも、とてもワクワクして好みだ。
- ボードゲーム仕立て。各物体の位置が分かったら、共通ボードにチップを置くが、他プレイヤーに内容は分からない。一定の条件を満たすと正解判定をアプリで行い、正解なら得点になる。プレイヤー間の競争の仕組みがあることは、通常の推理パズルにない、ボードゲームならではの楽しみだ。
◎懸念点
- 言語依存。アプリの提示するヒントは、文章で示される。英語版であると、子供たち(娘11歳、長男8歳、次男6歳)はまったく読めない。これは秘密情報なので、手引きするわけにもいかない。2022年、数奇ゲームズから日本語版「惑星Xの探索」が発売され、アプリが日本語された。だが、漢字混じりの長文のため、小さい子供には大きなハードルになりそうだ。
- 出題がアプリ。アプリに質問を入力して答えを得るというのは、ボードゲームらしからぬ作りで、残念。アプリのサポート終了も問題だ(1人がゲームマスターを担当すればアプリ不要とのことだが、1人が遊べなくなってしまうのは問題だ)。
- 類似ゲームの所有。最近、アプリ援用の推理パズル「チューリングマシン(Turing Machine)」を買ったばかり。かなりのお気に入りで、家族も熱心に遊び、稼働率が高い。言語依存がなく、小さい子供(長男8歳)も互角に遊んでいる。さらに、ヒントはパンチカードでアナログに提示され、アプリは出題と回答のみ。残念ながら、この「惑星X」は、システム面ではチューリングマシンに及ばないように思える。
★判定結果:「惑星エックスの探索」は買うべきか?
以上を踏まえて、「サーチ・フォー・プラネットエックス(惑星Xの探索)」を買うべきかどうか、判定しました。
判定結果:うちには必要ない。
※ぜひ買いたい/気になる/うちには必要ない、の3段階評価。
アプリ援用の論理パズルで、ボードゲームならではの競争要素が魅力です。ただ、アプリによるヒント提示というのが、アナログ的な魅力を薄めてしまっていて残念。もっと完成度の高いヒント提示の仕組みを持つ「チューリングマシン」が、我が家にはすでにあります。とても残念ですが、購入は見送りとしました。

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