家と子供と、今日のおじさん(仮)

2017年築の家で、妻+子供3人と過ごす記録です。ほのかに工学テイスト。


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 ボードゲームは、ここまで人を感動させるのか。

 
 ボードゲーム「ウェザーマシン(Weather Machine;ウェザー・マシーン/ウェザーマシーン)」で遊びました。

 天気を操る発明「ウェザーマシン」が引き起こした異常気象。実験データを集めて論文を発表、実地検証でメカニズムを解明せよ。科学技術に関わる人ならば、100%感銘を受けるテーマです。

 2023/1/28、日本語版(ふるりん本舗)が発売された。定価25850円(アップグレードパック同梱)。プレミアム価格に注意。


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★天候を操る発明には、致命的な欠陥があった。


 天気を自由に操れる発明「ウェザーマシン」。しかし欠陥があり、ある場所の天候を変えると、別の場所に異常気象が発生してしまう。気づいたときには、人類存続の危機になるほどの影響が出ていた、というストーリー。
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↑政府機関・研究室・開発センターの3箇所で、さあ実験の始まりだ!

 プレイヤーは科学者です。この原因を究明するとともに、解決の方法を実地検証し、各地の異常気象を解消する足掛かりを得ることが目的です。データを集めて、論文を発表して、実試験で効果を実証する、という流れは、理系の職業人が取り組む内容そのものです。この喜びを、子供たち(娘11歳、長男8歳、次男6歳)に、ぜひ理解してほしい!

 やはり圧倒的なのが、コンポーネント(物品)の豪華さ。まず、タイル1枚1枚の厚さが違う(体感1.5倍)。紙チップでじゅうぶんな物品まで、いちいち造型の細かい木製コマです。こ、これが高級ゲームか…。
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↑もちろんインサート付き。きちんと並んで、ああ美しい。


★論文と実地検証で、科学者の使命を果たせ!


 プレイヤーは、ウェザーマシンの欠陥の原因を突き止め、論文を書き、改善試作機を作り、実地検証で効果を実証する、というストーリー。このストーリーのもと、ゲーム中では、以下の①~③の手順を踏んでいきます。それぞれが、個別に得点を得る行動になっています。

①3箇所の場所をめぐり、研究データを集める。
②研究データが集まったら、論文を発表する。
③論文を実地検証し、効果を確認する。
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↑ちっちゃくてかわいい実験ロボ。倒れやすいので優しくしてね。

 おもしろいのが、ウェザーマシンを稼働するアクションが、各地の気象に影響を及ぼすところです。3箇所にあるマシンのうち、2ヶ所(政府・開発センター)のマシンは、異常気象を解消に向かわせます。共通ボードには天気タイルがあって、このタイルを取り除くことで、異常気象が解消されていきます。

 ところが、研究室にあるオリジナルのウェザーマシンは、欠陥品です。稼働のたび、異常気象をひどくしてしまうのです。それでも稼働しなければならないのは、そもそも異常気象の原因がオリジナルマシンにあり、その原因を特定するには、実際に稼働させてデータを収集するしかないからです。なるほどそうだよね、と思いつつ、実際それをやるにはどれほどの勇気がいるのか、と考えさせられます。責任は少しでは済みません。そこには科学者としての、強い使命感と覚悟があるのです。
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↑マシン稼働で気象が悪化しても、今はデータ取得のほうが重要だ。

 そして、異常気象の進行・解消自体は、ゲーム進行に大した影響を与えません。あくまでプレイヤーの目的は原因究明と対策明示までです。異常気象を完全に解消することは、ゲームの範囲外にあります。そうした現場的な課題は、また別の英雄たちが(ゲーム後に)引き継ぐのです。


★パズル的な遊び心地は、ゲーム進行とともに変化!


 基本ルールは、各人1個のワーカーコマを移動して、そのマスのアクションを実行する方式。ルール・物品の量的には、「グレートウエスタントレイル(GWT)」と同等くらい。ただし、個々のアクションの処理分量が多めで、それぞれGWTのゴール処理くらいあります。とはいえ、主要アクションは6個だけ。かつ、すべてアイコン記載があり、1個ずつ確認していけば、漏れなく処理ができます。 丁寧なアイコン記載とともに、テーマとゲーム内容が高度にリンクしていることもあり、初回に遊んだときでも、ルール上で大きな混乱に陥る部分はありませんでした。 
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↑言語依存ゼロ! カードレスで、意外とコンパクトに遊べるのも嬉しい。

 ただ、上手にプレイできるかと言うと、まったく別の話。こっちのアクションを実行するには、あっちのアクションの結果から得られる物品が必要。しかしそれを得るにはこっちのアクションを先に。でもそれには…。と、目的に至るまでの手順が交錯したループのような構造になっていて、どこから手をつけて良いのやら、途方にくれてしまいます。特に「歯車」は、入手できる方法が限られており、これをどう融通するかが、前半の主要な悩み事でした。
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↑多数のリソースが複雑に絡み合う。どれを選べばよいのか?

 そうした悩ましさも、後半になると大きく変化していきます。特に影響が大きいのが、「引用」という要素です。通常、論文を発表するには、3箇所の場所からデータを入手する必要があります。ところが、誰かが論文を発表すると、同じ天候の論文は、2ヶ所のデータだけで発表可能になるのです。これによって、論文の発表が加速されます。さらに、論文発表後の実地検証が成功すると、「重要データ(表彰コマ)」がもらえます。このコマは任意の1データとして、論文発表に使えます。引用と重要データをうまく利用すれば、データ収集をスキップして、発表と実地検証を連続的に繰り返すことができます。一気にノーベル賞(重要データ3個取得)に近づきます!
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↑後半、一気に加速する論文発表競争!


★まとめ:科学者たちは、今日も仮説と検証を繰り返す。


 まさに、「理系の職業人の仕事そのもの」のテーマ。遊ぶ前から興奮して、遊んで感動しました。以下、感想です。

◎素晴らしい点


  • ストーリー。数々の実験を行ってデータを取得し、考察の末に理論を組み立て、実用に耐える試作ユニットを作る。ついに論文をまとめあげた。その長年にわたる活動の最終段階として、試作ユニットを組み込んだ「改良版ウェザーマシン」で実地検証を行う。それが成功し、実際に異常気象が取り除かれることを確認できた。そのときの震えるような達成感、科学者・技術者としての誇りを想像すると、涙が出てくるほど感動的だ。こんなに感銘を受けたボードゲームは初めて。
  • 最終目的。異常気象の完全除去でなく、解決への足掛かりを作るところまでが目的になっている。科学者の立場として、実に現実的で素晴らしい。ゲーム内で科学者は、科学者としてできることを果たす。その後は、各分野の専門家が実用の道を切り開いていくのだろう。そうしたゲームの後日談的な部分にまで、想像が広がっていく。これほどイメージが広がっていくことも、ボードゲームでは初めての経験だ。
  • テーマとルールの融合。データ収集、仮説の文書化、実地での検証と、科学者・技術者が日常的に行っている仕事。この仕事の流れを、具体的に手順を追って体験できる。ロボ、燃料、パーツなど、さまざまな物品が登場するが、すべてマシンによる実験という部分でつながっていて、混乱は生じない。データ収集、論文発表、検証試験の3大要素が得点と強くリンクしている点も実に自然だ。テーマとルールの整合が素晴らしく、違和感なくプレイに集中できる。
  • 進行とともに変化する遊び心地。各アクションで必要な物品、獲得できる物品が複雑に絡み合い、どこから手をつけてよいか途方にくれる状態からスタート。しかし誰かが論文発表をしたところから、「引用」によりゲームが急激に加速していく。拡大再生産らしい要素が見当たらないにもかかわらず、実際には後半ほどプレイの幅が拡大していく。たった十数手番とは思えないほど、濃密で中身のあるゲームに感じた。遊ぶたびに新たな発見がありそうで、何度も遊びたくなる。ぜひ、ベストスコアを目指したい。
  • 言語依存フリー。今回、フランス語版を買ったが、言語依存がまったくない。個々のアクションは何段階かの手順を踏むが、すべてボードにアイコンで記載されており、漏れなく、スムーズに進められた。子供たち(娘11歳、長男8歳、次男6歳)と遊ぶ場合に、言語依存がないことは、非常に重要だ。ゲーム内のイメージを自由に膨らませるためにも、言語依存がないことは有用だと思う。

◎気になった点


  • 価格。物品が豪華とはいえ、ボードゲームでは考えがたい高価格。海外版を買った私は、送料込みで約3万円だった(ふるりん本舗の日本語版なら、アップグレードパック同梱で25,850円)。確かに素晴らしい内容であり、私は価格相応の価値があると満足しているものの、はっきり言って、コストパフォーマンスが悪い。理系の人にぜひ薦めたいのだが、さすがにこの価格だと躊躇してしまう。結果的に、遊ぶ人が限られてしまうことは、とても残念だ。



★総評:期待以上


※期待以上/期待通り/失敗した、の3段階評価。

 世界中で、さまざまな事象を研究し、物品の実用化に励む科学者・技術者たちが、日々活動しています。

 このゲームで味わう経験は、実際本当に、そうした科学者・技術者すべてが取り組み、理想とし、成し遂げることを夢見ているストーリーなのです。


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↑理系スペシャリストの活動を丁寧に再現。この感動をぜひ味わってほしい!




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★追記:価格情報 2023/2/15


 2023/1、日本語版が発売されました。価格情報を整理します。

◎キックスターター版


・プレッジ額:129USドル
※キックスターター版には、以下が同梱される。
 ・ソロモード物品
 ・KSストレッチゴール:
  ・初期資源カード:10枚
  ・個人目標カード:6枚
  ・共通目標カード:3枚
  ・トラック目標カード:6枚
 ・金属製ノーベル賞:1個

◎基本ゲーム


・Eagle Gryphone Games価格:149.99USドル
※基本ゲームのみ。

◎アップグレードパック


・Eagle Gryphone Games価格:14.99USドル
※以下の拡張物品セット。
 ・ソロモード物品
 ・KSストレッチゴール(金属製ノーベル賞を除く)

◎KSバンドル版


・Eagle Gryphone Games価格:164.99USドル
※リテール版とアップグレードパックのセット。

◎完全版


・Eagle Gryphone Games価格:193.96USドル
※KSバンドル版に加え、以下が同梱される。
 ・金属製ノーベル賞
 ・金属製パーツ(歯車)

◎日本語版


・ふるりん本舗価格:25,850円(税込)
※KSバンドル版相当。

◎当方購入版


・フランス語版 Philibert通販で購入(2022/12)
・本体価格:133.29ユーロ
・送料:72ユーロ+関税1900円
・合計:当時為替レートで、約3万円
※現品はKSバンドル版だった。


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| URL | 2023/02/15/Wed 03:14 [編集]
Re: タイトルなし
>
情報ありがとうございます。記載を修正しました。
マツジョン | URL | 2023/02/15/Wed 19:07 [編集]
素晴らしいブログ有難うございます。
私は、日本語版を購入しました。
毎日、ボードを並べて、ルールの勉強をしているところですが、貴殿の素晴らしいブログ記事に出会えて、良かったです。
他の記事も楽しそうなので、色々参考に致しますね。
マッケンジー | URL | 2023/02/21/Tue 14:52 [編集]
> マッケンジー さん
ご訪問ありがとうございます。お役に立てたようで、嬉しいです。
マツジョン | URL | 2023/02/26/Sun 08:44 [編集]



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