ボードゲームで数多く見られるシステムが「タイル配置パズル」です。それらの中でも、タイルを2層に重ねて遊ぶゲームを比較検討します。
<登場するボードゲーム>
1)カスカディア
2)ルナ・キャピタル
3)グランド・カーニバル
★タイルを置いて作る「箱庭」の楽しみ!
我が家で人気のゲームのひとつが、「クマ牧場(Baeren Park)」です。「ポリオミノ」と呼ばれる、正方形を複数個つないだピースを個人ボードに配置して、クマ動物園を作るゲームです。制約条件を満たすように、ピッタリとおさまるようにピースを置いて行って、自分だけの「箱庭」を完成させるのには、なんともいえない喜び・達成感があります。

こうした「タイル配置パズル」には、シンプルなものから、やや複雑性の高いものまで、さまざまな商品が存在します。今回は、それらの中でも、「タイルを2層にして配置する」のが特徴の商品に注目します。
比較検討するのは、以下3件の商品です。
1)カスカディア
2)ルナ・キャピタル
3)グランド・カーニバル
★1)カスカディア
「カスカディア(Cascadia、カスカエディア)」は、カナダとアメリカの国境付近にある、同名の地域が舞台です。自然豊かなこの土地で、地形と動物をバランスよく配置して、調和のとれた生態系をつくるのが目的です[1]。30~45分、1~4人、10歳以上。日本語版はケンビル、2022/4発売。定価5280円。2022/10現在、プレミアム価格に注意。
[1]ケンビル:カスカディア
毎ラウンド、地形タイルと動物チップ1個ずつの組合せを取得して、個人エリアに配置していきます。地形タイルは、既存タイルに隣接させて置きます。動物チップは、置ける地形が限られています。ゲーム終了時、動物の種類ごとに、異なる得点方法で点数を得られます。群が大きいほどよい、直線状に配置するほどよい、互いに隣接させてはダメ、など。得点方法カードは、動物ごとに複数種類が用意されており、豊富な組合せで遊べます。

画像出典:Alderac Entertainment Group/ Flatout Games, Cascadia 英語版ルールブック(2021)
◎ここが楽しそう!
・2022年、ドイツゲーム大賞(Spiel des Jahres)受賞。一定レベルの楽しさが保証されているのだろうという安心感。
・言語依存がない。小さい子供とでも、楽しめそうだ。
◎ここがイマイチ
・内容。タイルとチップを置いていくだけ。得点方法が変わるといっても、単調な作業で、飽きてしまうのでは。
・ルール。タイル・チップには、大きな配置制限がない。そのぶん、得点を高めるように置くことに頭を使わなければならない。その得点方法が毎回変わるので、確認が煩雑そうだ。得点方法カードを見て、自分の版面を見て、先のことを計画しながら進めなければならない。見た目ほど手軽でなく、意外と長考プレイになるのでは。上手な人とヘタな人、慣れている人とそうでない人とで、点差が開き過ぎそうな心配もある。
・物品。壮大な自然がテーマなのだが、物品はチマチマとしていて地味な印象。動物チップも小さく絵が描かれているだけで、華やかさに欠ける。
★2)ルナ・キャピタル
「ルナ・キャピタル(Luna Capital)」は、月面に土地と建物を配置して、大都市の構築を目指すゲームです[3]。30~60分、1~4人、8歳以上。日本語版はケンビル、2022/9発売。定価6600円。
[3]ケンビル:ルナ・キャピタル 日本語版
毎ラウンド、地形カードと建物チップ1~4個の組合せを取得して、個人エリアに配置していきます。地形カードには数字が書かれており、各行は右にいくほど数字が大きくなるように置く、という縛りがあります。建物チップは、地形カードの空マスに置きますが、カードによっては置ける建物の種類が制限されます。建物は終了時得点、または即時効果を与えます。
ゲーム終了時、建物の種類ごとに、異なる得点方法で点数を得られます。同種が隣接するとよい、隣に所定の建物があるとよい、いちばん多く集めた人だけ得点、など。

画像出典:Devir Iberia; Luna Capital 英語版ルールブック(2021)
◎ここが楽しそう!
・テーマと見た目。月面に都市を作るというのは、分かりやすく楽しめそう。カードやタイルを置くラックは、立体的な構造体になっていて、見た目がにぎやか。子供たちの食いつきも良さそうだ。
・ルール。1ラウンドは4手番あるが、毎手番、取れるタイル数が増えていく。建物は終了時得点だけでなく、特殊効果を得られるチップを与えるものもある。これらの要素がゲームに起伏を与えて、飽きずに楽しめそうだ。
・言語依存がない。小さい子供とでも、楽しめそうだ。
◎ここがイマイチ
・遊ぶ上で、大きな支障になりそうな点は見当たらない。
★3)グランド・カーニバル
「グランド・カーニバル(The Grand Carnival)」は、タイル配置で移動遊園地を作るゲーム。土地と遊具を配置して、たくさんのお客さんを呼び込むことを目指します[1]。45~60分、1~4人、12歳以上。原版は2020年発売、日本語版の発売は確認できず。海外メーカー価格48.89USドル。
[5]Forwers Games: The Grand Carnival
アクション選択式で、土地タイル(正方形)を取る、遊具タイル(ポリオミノ)を取る、お客を移動する、のいずれかを選べます。土地タイルには建設予定地が指定されていて、遊具タイルはそのマスにしか置けません。さらに、遊具を置かないマスは、お客の通路となります。通路に沿ってお客を誘導し、遊具に隣接させれば得点を得られます。アクションポイント制、特殊能力を与える目標カードなど、ゲーム性を高める要素も豊富です。

画像出典:Uproarious Games, The Grand Carnival 英語版説明書(2020)
◎ここが楽しそう!
・テーマと見た目。移動遊園地(サーカス)を作るテーマは、分かりやすい。見るからに、明るく楽しげ。
・ルール。土地タイルで建物配置マスを制限し、ポリオミノタイルを置くという、分かりやすいが悩ましいルール。いかにもタイル配置パズルらしい、うまくいったときの達成感を得やすそうだ。さらに、お客コマを移動させてお金を稼ぐという要素があって、ひと味違った楽しみになりそうだ。
・複雑さ。タイル配置に加えて、パワーアップやアクションポイント制などの、戦略性を高める要素がある。遊ぶたびに上達を感じられそうだ。
◎ここがイマイチ
・入手性。2022/10現在、日本語版がない。目標カードなどに、多少の言語依存がある。
★まとめ:多層タイル配置で、多層の悩ましさ。
2層のパズルを楽しめる、タイル配置ゲーム3商品を紹介しました。まとめです。
1)カスカディア
・土地と動物を配置して、自然豊かな地域を作ろう。
・動物ごとに異なる得点方法で、毎ゲーム違った展開を楽しめる。
2)ルナ・キャピタル
・土地と建物を配置して、月面の大都市を作ろう。
・建物ごとに異なる特殊効果と得点方法で、毎ゲーム違った展開を楽しめる。
3)グランド・カーニバル
・土地+建物の2層パズルに加えて、お客移動パズルも追加だ!
・アクションポイント制&パワーアップで、遊ぶたびに上達を実感しよう。
テーマが分かりやすく、物品もにぎやかな「ルナ・キャピタル」が、いちばん気になりました。「グランド・カーニバル」も楽しげですが、日本語版がなく、入手性が悪いのがネック。カスカディアはドイツゲーム大賞ですが、我が家には地味で、見送りです。
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1)カスカディア
2)ルナ・キャピタル
3)グランド・カーニバル
★タイルを置いて作る「箱庭」の楽しみ!
我が家で人気のゲームのひとつが、「クマ牧場(Baeren Park)」です。「ポリオミノ」と呼ばれる、正方形を複数個つないだピースを個人ボードに配置して、クマ動物園を作るゲームです。制約条件を満たすように、ピッタリとおさまるようにピースを置いて行って、自分だけの「箱庭」を完成させるのには、なんともいえない喜び・達成感があります。

こうした「タイル配置パズル」には、シンプルなものから、やや複雑性の高いものまで、さまざまな商品が存在します。今回は、それらの中でも、「タイルを2層にして配置する」のが特徴の商品に注目します。
比較検討するのは、以下3件の商品です。
1)カスカディア
2)ルナ・キャピタル
3)グランド・カーニバル
★1)カスカディア
「カスカディア(Cascadia、カスカエディア)」は、カナダとアメリカの国境付近にある、同名の地域が舞台です。自然豊かなこの土地で、地形と動物をバランスよく配置して、調和のとれた生態系をつくるのが目的です[1]。30~45分、1~4人、10歳以上。日本語版はケンビル、2022/4発売。定価5280円。2022/10現在、プレミアム価格に注意。
[1]ケンビル:カスカディア
毎ラウンド、地形タイルと動物チップ1個ずつの組合せを取得して、個人エリアに配置していきます。地形タイルは、既存タイルに隣接させて置きます。動物チップは、置ける地形が限られています。ゲーム終了時、動物の種類ごとに、異なる得点方法で点数を得られます。群が大きいほどよい、直線状に配置するほどよい、互いに隣接させてはダメ、など。得点方法カードは、動物ごとに複数種類が用意されており、豊富な組合せで遊べます。

画像出典:Alderac Entertainment Group/ Flatout Games, Cascadia 英語版ルールブック(2021)
◎ここが楽しそう!
・2022年、ドイツゲーム大賞(Spiel des Jahres)受賞。一定レベルの楽しさが保証されているのだろうという安心感。
・言語依存がない。小さい子供とでも、楽しめそうだ。
◎ここがイマイチ
・内容。タイルとチップを置いていくだけ。得点方法が変わるといっても、単調な作業で、飽きてしまうのでは。
・ルール。タイル・チップには、大きな配置制限がない。そのぶん、得点を高めるように置くことに頭を使わなければならない。その得点方法が毎回変わるので、確認が煩雑そうだ。得点方法カードを見て、自分の版面を見て、先のことを計画しながら進めなければならない。見た目ほど手軽でなく、意外と長考プレイになるのでは。上手な人とヘタな人、慣れている人とそうでない人とで、点差が開き過ぎそうな心配もある。
・物品。壮大な自然がテーマなのだが、物品はチマチマとしていて地味な印象。動物チップも小さく絵が描かれているだけで、華やかさに欠ける。
★2)ルナ・キャピタル
「ルナ・キャピタル(Luna Capital)」は、月面に土地と建物を配置して、大都市の構築を目指すゲームです[3]。30~60分、1~4人、8歳以上。日本語版はケンビル、2022/9発売。定価6600円。
[3]ケンビル:ルナ・キャピタル 日本語版
毎ラウンド、地形カードと建物チップ1~4個の組合せを取得して、個人エリアに配置していきます。地形カードには数字が書かれており、各行は右にいくほど数字が大きくなるように置く、という縛りがあります。建物チップは、地形カードの空マスに置きますが、カードによっては置ける建物の種類が制限されます。建物は終了時得点、または即時効果を与えます。
ゲーム終了時、建物の種類ごとに、異なる得点方法で点数を得られます。同種が隣接するとよい、隣に所定の建物があるとよい、いちばん多く集めた人だけ得点、など。

画像出典:Devir Iberia; Luna Capital 英語版ルールブック(2021)
◎ここが楽しそう!
・テーマと見た目。月面に都市を作るというのは、分かりやすく楽しめそう。カードやタイルを置くラックは、立体的な構造体になっていて、見た目がにぎやか。子供たちの食いつきも良さそうだ。
・ルール。1ラウンドは4手番あるが、毎手番、取れるタイル数が増えていく。建物は終了時得点だけでなく、特殊効果を得られるチップを与えるものもある。これらの要素がゲームに起伏を与えて、飽きずに楽しめそうだ。
・言語依存がない。小さい子供とでも、楽しめそうだ。
◎ここがイマイチ
・遊ぶ上で、大きな支障になりそうな点は見当たらない。
★3)グランド・カーニバル
「グランド・カーニバル(The Grand Carnival)」は、タイル配置で移動遊園地を作るゲーム。土地と遊具を配置して、たくさんのお客さんを呼び込むことを目指します[1]。45~60分、1~4人、12歳以上。原版は2020年発売、日本語版の発売は確認できず。海外メーカー価格48.89USドル。
[5]Forwers Games: The Grand Carnival
アクション選択式で、土地タイル(正方形)を取る、遊具タイル(ポリオミノ)を取る、お客を移動する、のいずれかを選べます。土地タイルには建設予定地が指定されていて、遊具タイルはそのマスにしか置けません。さらに、遊具を置かないマスは、お客の通路となります。通路に沿ってお客を誘導し、遊具に隣接させれば得点を得られます。アクションポイント制、特殊能力を与える目標カードなど、ゲーム性を高める要素も豊富です。

画像出典:Uproarious Games, The Grand Carnival 英語版説明書(2020)
◎ここが楽しそう!
・テーマと見た目。移動遊園地(サーカス)を作るテーマは、分かりやすい。見るからに、明るく楽しげ。
・ルール。土地タイルで建物配置マスを制限し、ポリオミノタイルを置くという、分かりやすいが悩ましいルール。いかにもタイル配置パズルらしい、うまくいったときの達成感を得やすそうだ。さらに、お客コマを移動させてお金を稼ぐという要素があって、ひと味違った楽しみになりそうだ。
・複雑さ。タイル配置に加えて、パワーアップやアクションポイント制などの、戦略性を高める要素がある。遊ぶたびに上達を感じられそうだ。
◎ここがイマイチ
・入手性。2022/10現在、日本語版がない。目標カードなどに、多少の言語依存がある。
★まとめ:多層タイル配置で、多層の悩ましさ。
2層のパズルを楽しめる、タイル配置ゲーム3商品を紹介しました。まとめです。
1)カスカディア
・土地と動物を配置して、自然豊かな地域を作ろう。
・動物ごとに異なる得点方法で、毎ゲーム違った展開を楽しめる。
2)ルナ・キャピタル
・土地と建物を配置して、月面の大都市を作ろう。
・建物ごとに異なる特殊効果と得点方法で、毎ゲーム違った展開を楽しめる。
3)グランド・カーニバル
・土地+建物の2層パズルに加えて、お客移動パズルも追加だ!
・アクションポイント制&パワーアップで、遊ぶたびに上達を実感しよう。
テーマが分かりやすく、物品もにぎやかな「ルナ・キャピタル」が、いちばん気になりました。「グランド・カーニバル」も楽しげですが、日本語版がなく、入手性が悪いのがネック。カスカディアはドイツゲーム大賞ですが、我が家には地味で、見送りです。
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