対戦型トレーディングカードゲーム「遊戯王ラッシュデュエル」のレアカード入りパックを、開けずに知る方法があると聞きます。「ゴールドラッシュパック」で検証しました。
★ラッシュデュエルをボックス買い!
トレーディングカードゲーム「遊戯王・ラッシュデュエル」を、家族(私、妻、娘11歳、長男7歳、次男5歳)で楽しんでいます。幅広い種類のカードを効率的に入手するために、「ボックス買い」をしています。先日購入した「ゴールドラッシュパック」は、4枚入のパックが15パック入りの商品です。アマゾンで購入し、約2000円でした。

この種のカードゲームの魅力のひとつは、「レア」と呼ばれる、封入率の低いカードです。ホログラムシートや金銀の箔を使い、キラキラと光る外観が特徴です。内容としても、ゲーム内で強力な効果を発揮するものが多く、人気の高いカードです。

「ラッシュデュエル」では、1パックに4~5枚のカードが入っています。しかし、レア度の高いカードが入っているかどうかは、開けてみないと分かりません。先の検証では、もっともレア率の高い「ラッシュレア」が入っているパックは全体の7%程度、2番目の「ウルトラレア」は13%程度でした。詳しくは、以下に書いています。
・「ミラージュインパクト」の開封実績
・「ゴールドラッシュ」の開封実績
ところが、パックを開けずとも、中にレアカードが入っているかどうかを判別する方法があると聞きました。そんなことが、本当に可能なのでしょうか? 実際に検証しました。
★実験方法:キッチンスケールで重さ測定
その方法は単純です。未開封のパックの「重さ(重量、質量)」を測定するだけです。レアカードには、金銀の箔やホログラムシートなどが使われているため、通常のカードよりも重い傾向があるのです。しかし、キッチンスケールなどの一般的な「はかり」で分かるほど、重さの差があるのでしょうか?
今回は、以下の方法で検証しました。
・測定対象:ゴールドラッシュパック 1箱15パック入り
・測定器:A&D キッチンスケール UH-3305
・測定器最小目盛:0.1g(測定精度±0.2g)
・測定方法:未開封のパックの重量を測定・記録する。
・測定回数:各パック1回ずつの測定を、2周繰り返す。

★さあ測定! レアカードは見つかるか?
未開封の15パックを、順に測定します。1個目は、7.8gでした。1個だけでは、重いのか軽いのか分かりません。

2個目、3個目、…と測定しますが、いずれも7.8g。0.1g単位では、判別できないのでしょうか?
ところが10個目で変化が! 8.0gを示しています。1回目・2回目の測定とも、明確に差がありました。

結局、重さの違いが判別できたのは、8.0gの1パックだけです。残りはすべて7.8gでした。7.8gのものを全て開封した結果が、下の写真です(未開封は8.0g)。いずれも、スーパーレアまたはウルトラレアが1枚ずつ入っていましたが、シークレットレア・ゴールドラッシュレアは、入っていませんでした。(ゴールドラッシュパックでは、必ずスーパーレア以上が入っているようです。)

そして、いよいよ8.0gのパックを開封! すると…
なんと、最上級レア度の「ゴールドラッシュレア」が入っていました!!

確認のため、カード1枚の重さを調べました。写真左がノーマル、右がレア度の高いカードです。

カード1枚の重量について、結果は以下の通りでした。
・ノーマル=1.6~1.7g
・スーパーレア=1.8g
・ウルトラレア=1.8g
・ゴールドラッシュレア=2.0g
今回検証した「ゴールドラッシュパック」では、15パックとも、スーパーレア以上のカードが1枚+ノーマル3枚の構成で、合計4枚のカードが入っていました。このため、スーパーレアとウルトラレアのパックは区別がつかず、ゴールドだけは重量で判別できた、という結果になりました。
今回測定したキッチンスケールは最小目盛が0.1gでしたが、0.01gキザミのものを用意すれば、スーパーレアとウルトラレアの識別が可能かもしれません。
ちなみに、最小目盛は、あくまで「分解能」で、精度とは違うことに注意ください。測定器自体の精度(ばらつき)によって、同じものを計っても、精度ぶんだけ(今回のはかりなら±0.2g)の差が出る可能性がある、ということです。さらに、パック側の製造時期の違い、周辺環境(温度・湿度・場所)の違いも、重量に変化を及ぼします。つまり、「重量の絶対値」では判別が困難です。判別のためには、同じはかりを使って、同じ場所で、複数のパックを連続的に、「重量の差分」を比較する必要があるでしょう。
★注意喚起:悪徳業者の「サーチ」に気を付けろ!!
さて、このように「パックを開けずに中身が分かる」という特性は、悪用が可能です。重量その他の方法で、開封せずに中身を推定する方法は、専門用語で「サーチ(探索)」と呼ばれているそうです。
ただ、この種のトレーディングカードの売場では、カードを自分で直接選ぶことはできず、商品札をレジに持って行って、店員さんに取ってもらうのが一般的です。したがって、一般消費者には、重量を比較してレアカードを選び取る、という手法は、実質的に不可能だと思います。(盗難対策だと思っていたのですが、販売者側はこれを知っていて、その対策も兼ねているのかもしれません。)
しかし問題は、通販等の業者です。業者であれば、「サーチ」によってレア度の高いカードを抜き取り、非レアだけが残ったセットを販売することが可能です。そして抜き取ったレアカードは、オークションや中古市場でプレミアム価格で販売して、追加の利益を得る、と言うわけです。
残念ながら、ネット情報を参照していると、一部の悪徳業者が、上述の手法を悪用しているようです。例えば、「配達料の削減のために箱から開封、簡易包装で届ける」と言った理由をつけて、ボックスから出した状態で商品を届ける手法があるらしい。より単純に、複数の箱を開封してレアを抜いた後、レアなしパック規定数を箱に戻し、再度封をする、という手法もあるでしょう。いちど箱から出されたパックは、「サーチ」が可能であり、すなわち、レアカードが抜きとられている可能性があるわけです。 しかし消費者側としては、困ったことに、レアカードの抜き取りを実証することは困難です。
★まとめ:レアカード封入は重量で分かる!
トレーディングカードゲーム「ラッシュデュエル」の未開封パックの重量を測定し、レアカード封入有無による差を検証しました。結果は以下の通りです。
・重量測定によって、開封せずにレア度の高いカードの封入を特定できた。
・ゴールドラッシュレアの入ったパックは、他より0.2gだけ重量が重かった。
・スーパーレア・ウルトラレアの違いは、重量測定では判別できなかった。
パックを開封せずに、レアカードを判別できるということは、悪徳業者であれば、意図的にレアカードを抜き取ることが可能ということを意味します。消費者側の対策としては、以下です。
1)信頼できる販売元から購入する。
・Amazonの場合、発送元・販売者ともアマゾンになっている商品を選ぶ。
・ヨドバシ等の大手通販ならば安心。
・ツタヤ等の大手小売店の店頭なら、まず大丈夫だろう。
2)シュリンク付のボックスで買う。
・シュリンク(プラ包装)付きボックスと明記されていれば安心。
・通販でのバラ買いは、危険度が高い。
レアが入っているか、開封するときのドキドキ感も、トレーディングカードの大きな楽しみのひとつと思っています。不当な方法で、その楽しみを取り去る悪徳業者の行為は、許されるものではありません。正しい対策をして、彼らの利を封じ込めることで、彼らに早々に退散してもらうことを望みます。
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★ラッシュデュエルをボックス買い!
トレーディングカードゲーム「遊戯王・ラッシュデュエル」を、家族(私、妻、娘11歳、長男7歳、次男5歳)で楽しんでいます。幅広い種類のカードを効率的に入手するために、「ボックス買い」をしています。先日購入した「ゴールドラッシュパック」は、4枚入のパックが15パック入りの商品です。アマゾンで購入し、約2000円でした。

この種のカードゲームの魅力のひとつは、「レア」と呼ばれる、封入率の低いカードです。ホログラムシートや金銀の箔を使い、キラキラと光る外観が特徴です。内容としても、ゲーム内で強力な効果を発揮するものが多く、人気の高いカードです。

「ラッシュデュエル」では、1パックに4~5枚のカードが入っています。しかし、レア度の高いカードが入っているかどうかは、開けてみないと分かりません。先の検証では、もっともレア率の高い「ラッシュレア」が入っているパックは全体の7%程度、2番目の「ウルトラレア」は13%程度でした。詳しくは、以下に書いています。
・「ミラージュインパクト」の開封実績
・「ゴールドラッシュ」の開封実績
ところが、パックを開けずとも、中にレアカードが入っているかどうかを判別する方法があると聞きました。そんなことが、本当に可能なのでしょうか? 実際に検証しました。
★実験方法:キッチンスケールで重さ測定
その方法は単純です。未開封のパックの「重さ(重量、質量)」を測定するだけです。レアカードには、金銀の箔やホログラムシートなどが使われているため、通常のカードよりも重い傾向があるのです。しかし、キッチンスケールなどの一般的な「はかり」で分かるほど、重さの差があるのでしょうか?
今回は、以下の方法で検証しました。
・測定対象:ゴールドラッシュパック 1箱15パック入り
・測定器:A&D キッチンスケール UH-3305
・測定器最小目盛:0.1g(測定精度±0.2g)
・測定方法:未開封のパックの重量を測定・記録する。
・測定回数:各パック1回ずつの測定を、2周繰り返す。

★さあ測定! レアカードは見つかるか?
未開封の15パックを、順に測定します。1個目は、7.8gでした。1個だけでは、重いのか軽いのか分かりません。

2個目、3個目、…と測定しますが、いずれも7.8g。0.1g単位では、判別できないのでしょうか?
ところが10個目で変化が! 8.0gを示しています。1回目・2回目の測定とも、明確に差がありました。

結局、重さの違いが判別できたのは、8.0gの1パックだけです。残りはすべて7.8gでした。7.8gのものを全て開封した結果が、下の写真です(未開封は8.0g)。いずれも、スーパーレアまたはウルトラレアが1枚ずつ入っていましたが、シークレットレア・ゴールドラッシュレアは、入っていませんでした。(ゴールドラッシュパックでは、必ずスーパーレア以上が入っているようです。)

そして、いよいよ8.0gのパックを開封! すると…
なんと、最上級レア度の「ゴールドラッシュレア」が入っていました!!

確認のため、カード1枚の重さを調べました。写真左がノーマル、右がレア度の高いカードです。


カード1枚の重量について、結果は以下の通りでした。
・ノーマル=1.6~1.7g
・スーパーレア=1.8g
・ウルトラレア=1.8g
・ゴールドラッシュレア=2.0g
今回検証した「ゴールドラッシュパック」では、15パックとも、スーパーレア以上のカードが1枚+ノーマル3枚の構成で、合計4枚のカードが入っていました。このため、スーパーレアとウルトラレアのパックは区別がつかず、ゴールドだけは重量で判別できた、という結果になりました。
今回測定したキッチンスケールは最小目盛が0.1gでしたが、0.01gキザミのものを用意すれば、スーパーレアとウルトラレアの識別が可能かもしれません。
ちなみに、最小目盛は、あくまで「分解能」で、精度とは違うことに注意ください。測定器自体の精度(ばらつき)によって、同じものを計っても、精度ぶんだけ(今回のはかりなら±0.2g)の差が出る可能性がある、ということです。さらに、パック側の製造時期の違い、周辺環境(温度・湿度・場所)の違いも、重量に変化を及ぼします。つまり、「重量の絶対値」では判別が困難です。判別のためには、同じはかりを使って、同じ場所で、複数のパックを連続的に、「重量の差分」を比較する必要があるでしょう。
★注意喚起:悪徳業者の「サーチ」に気を付けろ!!
さて、このように「パックを開けずに中身が分かる」という特性は、悪用が可能です。重量その他の方法で、開封せずに中身を推定する方法は、専門用語で「サーチ(探索)」と呼ばれているそうです。
ただ、この種のトレーディングカードの売場では、カードを自分で直接選ぶことはできず、商品札をレジに持って行って、店員さんに取ってもらうのが一般的です。したがって、一般消費者には、重量を比較してレアカードを選び取る、という手法は、実質的に不可能だと思います。(盗難対策だと思っていたのですが、販売者側はこれを知っていて、その対策も兼ねているのかもしれません。)
しかし問題は、通販等の業者です。業者であれば、「サーチ」によってレア度の高いカードを抜き取り、非レアだけが残ったセットを販売することが可能です。そして抜き取ったレアカードは、オークションや中古市場でプレミアム価格で販売して、追加の利益を得る、と言うわけです。
残念ながら、ネット情報を参照していると、一部の悪徳業者が、上述の手法を悪用しているようです。例えば、「配達料の削減のために箱から開封、簡易包装で届ける」と言った理由をつけて、ボックスから出した状態で商品を届ける手法があるらしい。より単純に、複数の箱を開封してレアを抜いた後、レアなしパック規定数を箱に戻し、再度封をする、という手法もあるでしょう。いちど箱から出されたパックは、「サーチ」が可能であり、すなわち、レアカードが抜きとられている可能性があるわけです。 しかし消費者側としては、困ったことに、レアカードの抜き取りを実証することは困難です。
★まとめ:レアカード封入は重量で分かる!
トレーディングカードゲーム「ラッシュデュエル」の未開封パックの重量を測定し、レアカード封入有無による差を検証しました。結果は以下の通りです。
・重量測定によって、開封せずにレア度の高いカードの封入を特定できた。
・ゴールドラッシュレアの入ったパックは、他より0.2gだけ重量が重かった。
・スーパーレア・ウルトラレアの違いは、重量測定では判別できなかった。
パックを開封せずに、レアカードを判別できるということは、悪徳業者であれば、意図的にレアカードを抜き取ることが可能ということを意味します。消費者側の対策としては、以下です。
1)信頼できる販売元から購入する。
・Amazonの場合、発送元・販売者ともアマゾンになっている商品を選ぶ。
・ヨドバシ等の大手通販ならば安心。
・ツタヤ等の大手小売店の店頭なら、まず大丈夫だろう。
2)シュリンク付のボックスで買う。
・シュリンク(プラ包装)付きボックスと明記されていれば安心。
・通販でのバラ買いは、危険度が高い。
レアが入っているか、開封するときのドキドキ感も、トレーディングカードの大きな楽しみのひとつと思っています。不当な方法で、その楽しみを取り去る悪徳業者の行為は、許されるものではありません。正しい対策をして、彼らの利を封じ込めることで、彼らに早々に退散してもらうことを望みます。
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