病院経営は、なにはなくともコスト。多数のフェーズを経る複雑な処理で、リアルな病院経営をシミュレートしたゲーム。
ボードゲームの購入を検討する記事です。今回は「クリニック・デラックスエディション(Clinic Deluxe Edition)」。
★検討にあたって
以下の条件を前提に、ボードゲームを物色しています。候補となった物件について、詳細を検討します。
・遊ぶ相手は、家族(妻、娘10歳、長男7歳、次男5歳)。
・長い期間、繰り返し遊びたい。
・我が家はお金がない。本当に買う必要があるかどうか、厳選したい。
今回の候補は、「クリニック・デラックスエディション(Clinic Deluxe Edition)」です。
★ゲーム内容の確認
以下項目について、確認を行います。
1)基本情報:プレイ人数、プレイ時間など
2)テーマ:世界観、ゲームのあらまし
3)外観:絵柄、コンポーネントなど
4)ルール:手順概要、特徴的な要素など
5)遊びやすさ:言語依存、リプレイ性など
6)入手性:価格、在庫状況など

1)基本情報
・タイトル:クリニック:デラックス・エディション
・作者:Alban Viard
・原題:Clinic: Deluxe Edition
・発売年:2020年
・出版社(一例):Alban viard Studio Games [1]
・プレイ人数:1~4人
・プレイ時間:120分
・推奨年齢:14歳以上
※2014年初出「Clinic(クリニック)」のリメイク版。
[1]Alban viard Studio Games: CliniC: Deluxe Edition
2)テーマ
・年代:現代
・場所:病院を必要とする町
・プレイヤーの立場:新病院の設立者
・目的:病院の評判を高めること。
・行うこと:
・病院の設備を充実させる。
・医者や看護士を雇う。
・患者の予約をとる。
・医者に患者の治療をさせる。
・設備や医者に費用を払う。
3)外観
・絵柄:明るくカラフルなボード。シンプルな線のイラスト。
・コンポーネント:
・ボード:メインボード1個、個人ボード4個、補助ボード8個
・木製コマ:医者、患者、車ほか 約280個
・紙製タイル:設備、アクション選択ほか 約140枚
・紙製チップ:現金、ボーナスほか 約60個
・その他:袋 2個
・サイズ感:箱32×23cm、ボード:60×40cm程度(推定)
4)ルール
以下、英語語版マニュアル(Alban viard Studio Games、v14)を参照した情報。
○基本システム
・アクションの選択と実行。
・個人ボードへのタイル配置と資源割り当て。
○大まかな手順
1)ラウンド制。全6ラウンド。
2)以下手順で、アクションを実行する。
i)アクション札を、全員同時に1枚選ぶ。
ii)建設→雇用→予約の順でアクションを実行。
・同じアクションを選択したときは、手番順に実行。
iii)以上を3回繰り返す。
3)全員同時に、個人ボードの人コマを動かす。
4)全員同時に、個人ボードの収入・支払を行う。
5)ボードをリセットする。次ラウンドに進む。
6)6ラウンドが終了したら、ゲーム終了。
○勝敗
・勝利点(評判点)が高い人が勝ち。得点源には、以下がある。
1)ゲーム中の得点:、広告活動など。
2)ゲーム中の減点:患者の死亡など。
3)終了時得点:残った医者、所有設備など。
4)終了時減点:残った患者、消費した時間。
○アクション
・アクション札を選んで、実行アクションを決める。
a)建設:設備タイルを買い、個人ボードに設置する。
b)雇用:共通ボードの医者/看護士を雇う。
c)予約:共通ボードの患者を移動/個人ボードに取る。
○特徴的な要素
・個人ボードに、病院の設備を構築する。
・個人ボードには、4階まである。
・上の階は、下の階にタイルがないと作れない。
・専門の違う施設は、隣接して置けない。
・診療室を機能させるには、所定のタイルの隣接が必要。
・医者や患者は、車で病院に来る。
・車は、個人ボードの1回に駐車される。
・駐車スペースがないと、医者や患者を増やせない。
・医者や患者が去ると、車は減る。
・医者や患者は、個人ボード上を移動する。
・新しい医者や患者は、入口からスタートする。
・移動のたびに、所定の時間を消費する。
・時間を消費するほど、終了時の減点が増す。
・移動結果に応じて、収入・支出がある。
・医者・患者には4段階のレベルがある。
・同じレベルの医者・患者が同じ診療室に移動すると、治療ができる。
・看護士1人につき、レベル差を1段階調整できる。
・治療できなかった患者は、症状が悪化したり、死亡する。
・治療できると、収入が得られる。
・医者・看護士・雑用係には、給料を支払う必要がある。
・設備タイルごとに、所定の経費を払う必要がある。
・利益が出れば、そのお金を勝利点に変えられる(広告)。
5)遊びやすさ
・言語依存:
・アクションスペースの固有名詞のみ、文字で記載。
・効果や処理はアイコン表記で、文字依存なし。
・プレイ人数依存:
・2~4人用:使用物品の種類・数を調整。
・1人用:所定条件の充足を目指す。
・リプレイ性:
・使用物品変化:
・毎回、同じ物品を使用する。
・ランダム要素:
・初期資源、初期タイル配置はランダム。
・メインボードの医者・患者の登場順はランダム(袋から引く)。
・拡張:
・追加要素を与える4種類が同梱。
6)入手性
・日本語版:日本語説明書付きが存在する。
・国内アマゾンで、普通に購入できる。実売11800円。
・英語版:メーカーサイトの価格は、59ユーロ(送料別)。
・海外Amazon.comでの販売は確認できず。
※2021/11現在の状況。
★考察:「クリニック」の魅力と懸念点
明るい色使いのボードと、個人ボードに病院を作り、患者の診察を行うという内容。医者と患者のマッチング、収入と経費の支払いなど、細部まで病院運営を再現していて、興味を引かれました。
◎魅力を感じた点
・病院シミュレーション。病院の設備を、個人ボードに建設する。医者や看護士を雇う。患者を受け入れる。医者や患者は、自動車に乗ってやってくる。医者と患者を移動させて、診療所でマッチングさせる。治療をして収入を得る。医者や看護士には経費を払う。うまく患者を治療できないと、容体が悪化する。場合によっては死亡し、病院の評判が落ちる。利益が出れば、広告を出して評判を高められる。…というわけで、細部まで、病院の運営が再現されている。考えていることは多いが、まさに「病院の箱庭」を作って楽しめそうだ。
・コマ。多数の木製コマが付属する。共通ボードに多数を並べるので、見た目の充実感を楽しめそうだ。また、袋から引いたり、個人ボード上を移動させたり、手で扱う作業も楽しそう。
◎懸念点
・処理の複雑さ。フェーズごとに処理内容が異なる。人を取ったら自動車を置く、人の移動のたびに時間トラックを進める、など、付随する処理が多い。タイル配置も、所定タイルの隣接が必要、特定タイル同士は隣接不可など、制約条件が多い。ラウンド終了時のボード更新も、医者・患者の補充やレベル変更など、面倒そうな処理が多い。内容をしっかり理解したうえで、十分に確認しながら進めないと、手順モレや、間違いが頻発しそうだ。ゲーム自体を純粋に楽しめないのでは。細かい作業をシミュレートしすぎている気がする。
・収入と支出の計算。患者を治療したときの収入は、患者レベルによって異なる。かつ、使用した設備によっても変わる。支出についても、医者レベル・看護婦・雑用係で異なる。さらに、設備タイルも費用がかかる。一方で、特定タイルによる費用削減もある。これらを、いちどきに計算するのは、かなり手間がかかりそうだ。実際に帳簿をつけるがごとく、面倒くさい。
・減点制。病院内の移動に時間がかかれば減点。患者を治療できなければ、患者の容体悪化、または死亡による減点。せっかく治療ができても、設備や医者を充実させすぎると支出が多い。給料を払えなければ医者や看護士は去っていく。マイナスの影響を与える、罰則的な要素が多すぎるように感じる。シビアすぎて、素直に楽しめないのでは。
★判定結果:「クリニック」は買うべきか?
以上を踏まえて、「クリニック」を買うべきかどうか、判定しました。
判定結果:うちには必要ない。
※ぜひ買いたい/気になる/うちには必要ない、の3段階評価。
設備構築、医者・患者のマッチング、収入と支出など、病院運営を詳細にシミュレートした欲張りなゲーム。細かい処理が煩雑なのと、罰則的な要素が多すぎて、じゅうぶん楽しめそうにありません。残念ながら、我が家には難しすぎるゲームだと判断しました。
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