家と子供と、今日のおじさん(仮)

2017年築の家で、妻+子供3人と過ごす記録です。ほのかに工学テイスト。


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 大航海時代の幕開けだ。未知の海域に船を進め、新しい世界との航路を切り拓くのだ!


 ボードゲームの購入を検討する記事です。今回は「ナヴェガドール(Navegador)」。

★日本語版ルールを作成しました。BGGに格納★


Navegador:Japanese rules in hand (「ナヴェガドール」日本語ルール)


★検討にあたって
 以下の条件を前提に、ボードゲームを物色しています。候補となった物件について、詳細を検討します。
・遊ぶ相手は、家族(妻、娘10歳、長男7歳、次男4歳)。
・長い期間、繰り返し遊びたい。
・我が家はお金がないので、本当に買う必要があるかどうか、厳選したい。

 今回の候補は、「「ナヴェガドール(Navegador、Navigator;ナビゲーター)」です。



★ゲーム内容の確認
 以下項目について、確認を行います。
1)基本情報:プレイ人数、プレイ時間など
2)テーマ:世界観、ゲームのあらまし
3)外観:絵柄、コンポーネントなど
4)ルール:手順概要、特徴的な要素など
5)遊びやすさ:言語依存、リプレイ性など
6)入手性:価格、在庫状況など
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1)基本情報
・タイトル:ナヴェガドール (ナビゲーター)
・作者:Mac Gerdts (マック・ゲルツ)
・原題:Navegador
・発売年:2010年
・出版社(一例):Rio Grande Games[1]
・プレイ人数:2~5人
・プレイ時間:45~90分
・推奨年齢:12歳以上
[1]Rio Grante Games: Navegador

2)テーマ
・年代:15世紀、大航海時代がはじまりつつある時代
・場所:ポルトガルから長崎までの海域
・プレイヤーの立場:新航路探検の先駆者
・目的:新航路の発見や貿易を通じ、支配力を高めること。
・行うこと:
 ・船を進め、新しい航路を開く。
 ・植民地を作り、特産品を売って、利益を得る。
 ・工場を作り、加工品を製造して、利益を得る。
 ・有用な建築物を建てる。

3)外観
・絵柄:古地図のような枯れた色合いで、落ち着いた雰囲気。
・コンポーネント:
 ・ボード:メインボード1枚、個人ボード5枚
 ・紙製カード・タイル:植民地、特典など 約70枚
 ・紙製チップ:お金
 ・木製コマ:船型・人型・建物型など 約100個
・サイズ感:箱40cm×30cm、メインボード80cm×40cm程度?(推定)

4)ルール
 以下、英語版マニュアル(Rio Grande Games、2.0版)を参照した情報。

○大まかな手順
1.ターン制。ラウンドの概念はなく、終了条件を満たすまで繰り返す。
2.開始プレイヤーから、時計回りで手番を取る。
3.手番では円形の「ロンデル」でコマを進め、アクションを選択する。
4.終了条件を満たしたら、各人が1手番を行って終了。

○勝敗
・終了条件(誰かが長崎に到着、または建物が枯渇)が満たされたら、ゲームが終了する。
・得点源は以下:
 イ)獲得した船、労働者、現金。
 ロ)獲得した成果物(探検隊・植民地・建物)×それぞれの基礎点。

○アクションの種類
・ロンデルのコマを進め、アクションを選ぶ。
a)ワーカーを雇う:教会とお金を使って、ワーカーを増やす。
b)船を作る:造船所とお金を使って、船を増やす。
c)航海する:ボード上の船を動かす。
d)植民地を作る:ワーカー・船・お金を使い、植民地を得る。
e)建物を建てる:ワーカー・お金を使い、建物を建てる。
f)商品を売る:植民地の特産品や、工場の加工品を売って、お金を得る。
g)特権をもらう:ワーカーを失い、最終得点の基礎点を上げるタイルを得る。

○特徴的な要素
・ロンデルのアクションは、現在位置から1~3歩先のコマだけを選べる。
 (追加コストの支払いで、4歩以上進むこともできる。)
・建物には教会、造船所、工場(砂糖・黄金・胡椒)がある。
・教会・造船所の数までなら、ワーカー・船を低コストで得られる。
・未知の海域に入ると船1隻を失うが、探検隊と現金ボーナスを得られる。
・市場価格の変動が組み込まれている。
 ・植民地の商品を売ると、商品価格が下がる。
 ・工場で加工品を作る(商品を仕入れる)と、商品価格が上がる。
・手番の前に航海を追加する「ナヴェガドールカード」がある。
 カードはプレイ順と逆の方向に、プレイヤー間を回る。


5)遊びやすさ
・言語依存:
 文字記載はアクション名・地名のみ。実質的に言語依存なし。
・プレイ人数依存:
 2~5人用とも、共通の基本ルールで遊ぶ。
・リプレイ性:
 ・使用物品の変化:毎ゲームとも固定。
 ・ランダム要素:植民地タイルは、初期配置がランダムかつ秘密情報。


6)入手性
・日本語版:国内通販サイトで販売されている。約8000円。
・英語版:国内通販サイトで販売されている。約9000円~。
 海外通販サイトAmazon.comでも販売あり。50ドル強+送料15ドル。
※2021/6現在の状況。



★考察:「ナヴェガドール」の魅力と懸念点
 作者のマック・ゲルツ氏は、「ロンデル」というシステムの第一人者として有名なようです。私の最近買った「グレート・ウエスタン・トレイル」もロンデルの一種(所定歩数内のコマから次の行動を選ぶ)と聞き、本作への興味が増しました。以下、調査結果を踏まえて認識した、良い点・悪い点です。

◎魅力を感じた点
・ロンデルというシステム。それを補うナヴェガドールカード。各アクションを実施したいタイミングと、実際に使えるタイミングにジレンマがあり、そのやりくりが楽しそうだ。
・船1隻を犠牲にしつつ進むルール。実際に未知の海を開拓していく感じが味わえそう。
・変動する市場価格。タイミングよく売り買いを繰り返すだけでも、「お金儲け」の楽しみを得られそう。
・言語依存がほぼ無い。コンポーネントはそのままで遊べそう(ロンデルの文字のみ、要考慮)。

◎懸念点
・テーマ。さらりと「植民地を増やす」と言っている。当時の歴史を再現しているとはいえ、自らの富のために住民を蹂躙して略奪を行うことは、とても認められることではない。子供たちと、どう楽しめばよいのか。
・ゲームの終了条件。「誰かが長崎に到達」というのは、自己最高点の更新嗜好の我が家では、ゲームが終わらない原因になりそうだ。
・商品の売買には、商品コマを使わない。特に工場は、(見えない)市場から(見えない)原料商品を買って(すると市場価格が上がる)、その商品を(見えない)加工品に加工して売ると、原料額(実際に払わない)と商品額(実際に登場しない)の差額としての利益(これが実際にもらう額)を得る、という内容。しかし実際の手順は、マーカーで指示されたお金をもらい、マーカーを高額側に移動させるだけ。ということで、実際にやっていることがイメージしにくく、子供たちはゲームを理解しにくい懸念がある。
・割り当て式の購入。建物を建てたり、植民地を作るのには、労働者が必要だが、これは消費するのでなく「割り当てる」方法となっている。また、労働者の所有数もコマでなくトラックの数字で示される。イメージがしにくく、ゲームを理解しにくそうだ。


★判定結果:「ナヴェガドール」は買うべきか?
 以上を踏まえて、「ナヴェガドール」を買うべきかどうか、判定しました。

 判定結果:うちには必要ない。

※今すぐ買う/ぜひ買いたい/うちには必要ない、の3段階評価。

 「植民地で私腹を肥やすゲーム」は、容認できません。ルール上も、「いつまでも終わらないゲーム」になるリスクが高すぎます。売買システムも頭の中で扱う部分が多くて、子供たちにも理解されにくいのでは、と思いました。残念です。



★日本語版ルール(PDF形式・完全版)★


 サマリーではない、詳細まで網羅した完全版ルールを作成しました。ゲーム中の確認にも便利なように、冗長な記述を省き再整理しました。完全日本語版が入手できなくても、これで大丈夫!(地名・アクション名などの固有名詞を除き、物品の言語依存なし。)

★BGGからダウンロードできます★


Navegador:Japanese rules in hand (「ナヴェガドール」日本語ルール)

※PD Games / Rio Grande Gamesの英語マニュアル(2.0版)の和訳に沿っています。旧版・別版とは、一部ルールの異なる箇所があります。
※王の特権をGoaに置く、公式バリアントも記載。


(追記) 2023/1/27


 「プエルトリコ」というボードゲームを遊んだ後、本作ナヴェガドールに抱く印象が大幅に変わりました。プエルトリコは、「奴隷から搾取して私腹を肥やす」行為を強く想起させる内容です。もちろん、嫌なイメージを受けたのですが、ボードゲームマニアの中で評判が高いらしいから遊んでみたい、という安易な気持ちで購入したのです。しかし、実際に遊ぶと、私個人の持つ倫理観、価値観とどうしても折り合いがつかず、それはもう吐き気をもよおすほどでした。最終的には、家に置いておくことも嫌で、廃棄処分しました。
 そしてこの「ナヴェガドール」は、「未開の土地に乗り込み、住民を蹂躙し、自らに利益をもたらす『植民地』にする」という行為を強く想起させる内容です。ゲームの舞台となる時代では、普通に行われていたことかもしれません。しかし、ゲーム中と言っても、倫理的に認められない行為を、自ら進んで行うわけにはいきません。まだ思想体系を整えている途中の子供たち(娘11歳、長男8歳、次男6歳)と遊ぶとなれば、なおさらです。
 映画や小説であれば、「植民地」というネガティブなテーマを扱っても、各立場の人々をめぐるドラマが描かれ、そこに「学び」があるでしょう。しかし、ボードゲームはダメです。「植民地を増やして本国を豊かにした人が勝ち」と決められたら、それが絶対的な「正義」となって、盲目的に従い、勝利を目指すだけです。過去のあやまちを繰り返すことを強いるだけで、何の「学び」も「成長」もありません。

 世界が一丸となってSDGsを目指している現代には、とてもそぐわない内容。当然ながら、子供たちと遊ぶには、はなはだ不適切な商品です。これは遊ぶまでもなく、「ノットフォーミー」と結論します。





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