家と子供と、今日のおじさん(仮)

2017年築の家で、妻+子供3人と過ごす記録です。ほのかに工学テイスト。


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 しばらく、まとまったブログを書くための時間がとれそうにありません。ですので、過去の名作から、「今日のおじさん・アンコール」をお届けすることにします。
 その第一回は、私の人生観を変えたトピックともいえる、こちらの記事。初出は2011/5/14ですが、もちろん、最新のアップデートを盛り込んでいますよ!


【今日のおじさん・アンコール】蓄膿症だと泳げない理由~さあ,鼻栓をしよう!
 久しぶりに水泳をしたので,今日は水泳工学です.


★蓄膿症だと、息継ぎができない!
 私は,つい数年前まで,泳ぐことができませんでした.
 高校の水泳の授業では,クラスで25mを泳げないのが私1人で,体育の先生に,「人間,誰でも得手不得手がある」,と慰められるほどでした.私は,スポーツ全般,かなり不得意でしたので,泳げないのも,自分の体力や運動技術がないせいだと思っていました.今思えば,浅はかだったものです.

 私が,泳げなかった原因は,単純でした.

 息継ぎが,できなかったのです.

 しかし,これは,技術的な問題ではありません.私の持病である,「慢性副鼻腔炎」(いわゆる蓄膿症)が,原因でした.
 蓄膿症だと息継ぎができない,具体的なメカニズムを,下図1で説明します.図の左は正常な人,右は蓄膿症の人です.この図は,文献[2]を参考に描きました.(ただし,後述するメカニズムは,当方独自の推定です.)

[2]MSD;メルクマニュアル医学百科家庭版,鼻と副鼻腔,鼻とのどの構造
 https://merckmanual.jp/mmhe2j/sec19/ch217/ch217c.html

<図1>
z20110504z1.jpg
 泳ぐときには,顔を水面に対して,上下に移動させます.このとき,どうしても,鼻の穴に,少量の水が入ってしまいます.しかし,正常な人では,鼻から流入した水は,顔を上げた際に,そのまま鼻から流出します.このため,鼻の穴に,少量の水が入っても,特に問題はないのだろうと思われます.

 これに対して,蓄膿症の人は,違います.蓄膿症の人の鼻は,以下の特徴を有しています.
 a)鼻の中の,空気の通路の壁面が,腫れている,
 b)鼻の中に,多量の鼻かすが詰まっている.
 このような特徴から,鼻の中は,通路の幅が狭まっている,または,塞がれている状態になっていることが多いと,推定されます.このため,鼻から流入した水は,鼻の中にトラップされてしまう傾向があります.鼻かすと水が混じりあって,ゼリー状になるのかもしれません.このため,顔を上げたときも,水が鼻の中に留まってしまうと,考えられます.
 泳ぎを続けると,鼻の中の水は,少量ずつ貯まっていきます.そして,貯まった水が,何かの拍子(顔の上げ下げの際の慣性力など)で,鼻の外ではなく,喉の方に流入しまうのでしょう.この水の流入のタイミングが,息継ぎのタイミングと重なると,水が気管に入ってしまいます.つまり,水を飲んだのと同様な状態になるのです.これでは,溺れるしか,ありません.
 したがって,蓄膿症の人は,どんなに頑張って息継ぎの練習をしても,永遠に泳げないと,結論されます.なんて不幸なことでしょう!


★蓄膿症でも泳げるようになる方法
 しかし,次の2つの条件がそろった結果,蓄膿症の私も,泳げるようになりました.
1)高校のときよりも成長し,上のメカニズムから,「鼻に水が入らなければ泳げる」との結論を得ることができた.
2)インターネット通販で,「鼻栓」等の鼻を塞ぐ器具が容易に入手できるようになった.

 鼻を塞ぐ器具としては,「鼻栓」や「鼻まで覆うゴーグル」が,あります.下図2の左は,鼻栓の一例(SPEEDO,型式不明)です.右は,鼻まで覆うゴーグルの一例(IKARI,型式不明)です.
<図2>
z20110504z2.jpg
※鼻栓もいろいろありますが、おススメは一番右のもの(arena,ARN-0681)。グリップ部が天然ゴムなので、脂症の私でも滑りにくく、外れにくかったです。



 鼻栓および鼻まで覆うゴーグルの,優劣は,以下の通りです.

●鼻栓
・利点:ほとんどのプールで,使用が認められている.
・欠点:水泳中に外れやすく,紛失しやすい.
(ひもでゴーグルと結ぶことによって、紛失の防止に役立ちます。)

●鼻まで覆うゴーグル
・利点:外れることがなく,快適に使える.
・欠点:多くのプールでは,使用が認められない.

 ちなみに,図2の鼻栓では,グリップ部の材質は,凹凸部のないエラストマーです.これは,あまりグリップ性が良くなく,水泳中に外れてしまい,使えませんでした.当方の鼻が脂症のことも影響していると思われます.インターネットで入手した,グリップ部が天然ゴムの鼻栓(arena,ARN-0681)が,外れにくかったのですが,残念ながら紛失しました.また,カヤックなどで用いられる鼻栓には,紛失防止用のヒモが付いているものもあるようです.
 現在通っているスポーツジムでは,鼻まで覆うゴーグルの使用が認められています.しかし,多くのプール(特に,市民プールなど)では,競技用ゴーグル以外は,使用が認められていないので,注意が必要です.世の中,蓄膿症の人には,厳しいのです.

 なお,私が泳げるようになる上で,文献[3]も,大きな力になってくれました.
[3]高橋雄介;平泳ぎが速くきれいに泳げるようになる!,高橋書店,(2007)



★さあ、鼻栓をしよう!
 今回紹介した,泳げないメカニズムは,蓄膿症の人の特有の問題ですので,蓄膿症以外の人には,発見することが困難です.このため,優れたコーチでも,蓄膿症の人を泳げるようにすることは,困難でしょう.
 したがって,世間には,高校生のときの私のように,泳げないことを,自分の体力や技術や根性が足りないためと,勘違いしている,不幸な方々が,少なからずいるはずです.
 そんな方々に,私は言いたいのです.「さあ,鼻栓をしよう!」


【今回の結論】
 どんなに頑張っても泳げない方,あなたは蓄膿症ではありませんか?
 鼻栓をすれば,きっと普通の人と同じように,息継ぎができるようになるはずです.


(補足) 2011/6/7
 重度の蓄膿症の場合には,水泳を禁止されることもあるそうです.お医者様と,ご相談ください.
 当方,蓄膿症の治療は何度か(小学生のとき,高校生のとき,働いてしばらくしてから)試みたのですが,毎回挫折してしまいました.何日通っても,直る気配がないし,日常生活に著しい支障はありませんので,なかなか続きません.


(補完記事) 2014/7/8
 さらに、通販で手に入る鼻栓リストをまとめました。

★私が選ぶ「ベスト・オブ・鼻栓」
 鼻栓は、何種類か試したのですが、私にとって最も好ましい製品は、「アリーナ」のノーズクリップ「ARN0681-WHT」でした。


 この製品が良いと感じた点は、以下でした。
1)本体がステンレス鋼の針金製。
 ・プラスチック製のものに比べて堅牢で、折れることがなかった。
 ・スチール(鉄)製のものに比べて、錆びることがなかった。

2)鼻にフィットする部分は天然ゴム(ラテックス)製。
 ・脂症かつ鼻ペチャの私でも、しっかりホールドして外れにくかった。

 しかし、残念なお知らせです。この鼻栓は、現在ではアマゾンを含めて、在庫を持っている通販サイトが見つかりませんでした。


★シンクロ用ノーズクリップ
 仕方がないので、代替品を探します。形状が類似したものが、「シンクロ用ノーズクリップ」です。シンクロナイズドスイミングで使用されるもののようです。形状は似ていますが、この製品には、次の難点があります。
1)本体はスチール+塗装。長期使用では、錆の心配がある。
2)鼻フィット部は樹脂製と思われる。グリップが悪そうで、外れやすいかも。


 私が最近(2017年)に購入したのは、「JieJia」というブランドのノーズクリップです(Amazonではinkintとも記載)。パッドはシリコーンゴム製のように見えます。金属製(ステンレス?)の本体のばねも強く、フィット感が良好です。ひもをつけてゴーグルと結ぶと、紛失防止に便利になります。
20180729a1.jpg


★カヤック用ノーズプラグ
 カヤック用の鼻栓も発見しました。ヒモが付いているので、紛失防止に役立ちそうです。本体は金属製に見えます。クチコミは少ないですが、ホールド性に疑問があります。



★グリップが良さそうなもの
 グリップが良く、外れにくいと思われる鼻栓を探しました。以下のような製品が見つかりました。これらの製品では、鼻フィット部分を「シリコン(シリコンラバー)」としています。これによって、外れやすさを改善しているようです。
・Longsail FLN-102:フィット面にブツブツのイボ付き
・ヤスダ YA-414:本体ポリカーボネート製
・プロブルー:フィット部が別部品
・Wellz:鼻栓と耳栓のセット


 いずれの製品とも、本体はプラスチック製です。クチコミを見ると、使用中に本体が折れた、という情報もあります。やはり金属製のものと比べると、堅牢とはいえないようです。また、シリコン製ということですが、滑りやすく使えないというクチコミもあります。
 このラインナップの中では、LongSailのものが、外れにくいとのクチコミもあり、一歩リードでしょうか。



★イマイチな感じのもの
 下の商品(スピード)は、私が購入したことがある鼻栓です。本体はステンレスで堅牢です。しかし、肝心の鼻フィット部分がプラスチック(エラストマー、合成ゴム)製でした。表面にも凹凸がないので、とても滑りやすく、すぐに外れてしまいました。結果的に、私の場合は使えませんでした。残念です。


 そして、もっとも流通していると思われるタイプが、総プラスチック製のタイプです。以下のような商品があります。競泳用に用いられる鼻栓のようで、有名メーカーが製造しているものもあります。
・スピード
・フィニス
・アリーナ
・ミズノ




 色がカラフルなのが良いかもしれません。しかし、本体がプラスチックで破損の恐れが高いこと、鼻フィット部もプラスチック(エラストマー)、またはシリコーンでも凹凸の少ない形状に見えますので、滑りやすく、外れやすいと思います。
 残念ながら、これらの鼻栓は、私は買う気にはなれません。


★鼻栓! どれを買うか?
 以上の検討から、「鼻栓ベストバイ」を選びました。

1位.JieJia inkintノーズクリップ :本体が金属製、パッドのフィット感が良好
2位.シンクロ用 SNC-10 :本体が金属製、フィット感は未知
3位.LongSail FLN-102 :本体プラ性だが、フィット部のイボに期待




 以上、鼻栓ご購入を検討の方(特に蓄膿症の方)、参考になりましたら幸いです。


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